昭和26年初版発行。クロースアップ~サロンを幅広く解説しています。中・上級者向けの内容です。こちらは昭和50年代の再販本になります。
パスやフォースといった技法がしっかりと解説されていたとは驚きです。コインではバックサムパームを使ったりと難しいこともやってたりします。数理原理を使ったマジックも紹介していたりと、充実した内容です。
70年前とは思えないほどのクォリティーです。今見てもお楽しみ頂けると思います。
奇術に用いられる道具としては、カード、ハンカチ、紐、紙、タバコ、あらゆるものが用いられているが、そのうち身辺にあるものを何げなく用いて演るは奇術は我々アマチュアとして甚だ好もしいようである。特別に用意したとか袋などを用いることも。アマチュアなるが故に、一抹のユーモアはあるにしても道具を用いる自然さに及ばない。この意味から本書ではなるべくありふれたものを用いる姿を主題とした。
第1のカードの部が大中の質をとつて了つたが、カードの技法を近代の基本をなすものとされているので、特質をとつたのである。他のはどこから見て行つても差支えはないがカードの部だけは最初かも読んで貰わないと。そのテクニックがらないかも知れないし、技法のも順序を定めてあるからなるべく順を追って研究されたいものであ る。本文中には読者へのを残して置いた。これは読者になるべく早く、この本以上の名奇術の創作をして貰いたいからに他ならない。奇術を研究するものにとつては奇術をやるより之を見る楽しみの方が遥かに大きいものなのである。
紐の部に於ける『紐抜き』とか、 『食卓の話題』及『数を用いた奇術』の中には術と云われないものも入っているが、これ等は演出の例によ つて奇術に応用出来ないものでもないので、参考資料として之をすてなかつたのである。