前回の続き。ボストン行きの飛行機の中では映画鑑賞で時間を潰しました。最初は「クワイエット・プレイス」を見たのですが、いったい何を考えているの?という映画でした。目は無いけど、聴覚は鋭い怪物に支配された世界で、見つからないよう音をたてずに暮らす家族の物語です。映画自体も突っ込みどころ満載ですが、それはさておき、話せないので会話は手話で行われ、その静寂の中に緊迫感が生まれるわけですが(撮影中もできるだけ音をたてないようにしたそうです)、あろうことか、手話で話す内容を日本語の“吹き替え”にしているのです。これってどう思いますか?音を出してはいけない状況で言葉が話されたら、たとえそれが吹き替えと言えども、世界観がぶち壊しです。当初、手話で話されることも字幕に出さないと考えていた監督が知ったら激怒したでしょう。
その次は安心して見られるものにしようということで、2本目に見たのが「カサブランカ」。イングリッド・バーグマンが美しい。冒頭2分のところ、街中のシーンで3ボール・ジャグリングをやっている人がいるのに初めて気がつきました
携帯などでYouTubeを見ると広告が入りますが、海外だとその国の広告(今回の場合はアメリカ)になるって知ってました?
原題:Houdini Lost Diaries
監督:Simon George
案内役:Laurence Fishburne
製作:BBC Studios
放送:2021年
時間:83分
20世紀初めに名を馳せ、世界中の人々を魅了した奇術師、ハリー・フーディーニの日記を紐解き、子供時代から死ぬまで、謎の多いフーディーニの生涯に光を当てたドキュメンタリーです。案内役は「マトリックス」のローレンス・フィッシュバーン。
以下の人たちが証言します。ペン・ジレット&テラー、フーディーニ伝記作家のパトリック・カリトン、奇術史家のR. J.リンチ、マジシャン&俳優のポール・ゼノン、スタント・パフォーマーのジョナサン・グッドウィン、歴史家のクリストファー・サンドフォード、歴史家のマイク・ケイヴニー、マジシャンのスティーヴ・チッフォ、フーディーニ関連歴史家のジョン・コックス、関連書籍著者のルース・ブランドン、マジシャンのリー・ターボシック、奇術研究センター専務理事のウィリアム・カルーシュ。
フーディーニの本名はエリク・ヴェイス。死後に読まれることを予想してか、出身地を偽って日記に書いていました。1874年3月24日、ハンガリーのブタベスト生まれで、4歳の時にアメリカに渡ってきましたが、日記には4月6日、ウィスコンシン州アップルトン生まれと書いています。10歳の時に、父親が連れて行ってくれたマジック・ショーで、ドクター・リンの再生術(人の手足や頭を切り落とし、元に戻す)を見て衝撃を受けます。1889年にロベール・ウーダンの回想録を読み、キャラクターを演じることを試みるようになり、芸名をHoudinの後ろにiを付け足してしてHoudiniとしました。当時はネクタイ工房で働いており、兄弟のジェイコブと組んでThe Brothers Houdiniとして、新人の登竜門である10セント博物館で芸を磨きました。「魔術の恋」でも出てきた、針を飲んで糸で繋がって出てくる芸は、この頃やっていたようです。しかし貧しく、マジックのタネを売ろうとしましたが、買い手がつきませんでした。1898年、24歳で結婚しますが、その1年後には誰もが知るマジシャンになります。最初に有名になったネタは手錠抜けで、客の持参した手錠から抜けるというパフォーマンスをしましたが、手錠を持っている人が少ないので警察で行なったそうです。ミネソタでマーティン・ベックというボードビル主催者に会い、劇場に出してやるが、マジックはいらない、あらゆるものから脱出できる男になれと言われます。そして挑戦芸を見せるようになります。
死んだ原因は学生に腹を殴られたことですが、他の書籍に書かれているように、フーディーニから殴ってみろと誘ったのではないそうです。そしてその学生は、フーディーニと対立していた心霊主義者から送り込まれた刺客だったという説もありますが...。今なら無料で、Amazonプライムで見られるので、残りはそっちで見てください。
次回はこの時代に流行った心霊術に関係した映画を紹介します。