今週の格言:「正しい演技は、間違った演技よりも多くの拍手を得る」
監督:小沢茂弘
脚本:松浦健郎
出演:片岡千恵蔵(アマゾンの源次), 進藤英太郎(ゴールドラッシュの熊吉), 江原真二郎(スペードのジャック), 久保菜穂子(玉琴), 三田佳子(秀子), 佐久間良子(道子), 梅宮辰夫(進次), 月形龍之介(竜源昌), 小沢栄太郎(西園寺), 山本麟一(橋爪)
配給:ニュー東映
公開:1961年4月21日
上映時間:86分
東映の場合、映画のトップロゴは“岩に砕け散る波”ですが、ニュー東映のロゴは“火山の噴火口”で、1961年の約10ヶ月間に制作されたものでしか見ることができません。
アメリカの賭博場を牛耳っている暗黒街のボスたちがニューヨークに集まり、日本の賭博市場への進出を計画します。同時にパリ、カイロ、中国でも日本進出を狙っている者たちがおり、世界中からギャンブラーたちが来日します。ニューヨークからは国定忠治の子孫、ゴールドラッシュの熊吉、パリからはマルセーユ生れで祖母が日本の芸者ガールだったというスペードのジャックなどで、横浜港にはパンチョス・スタイルの男、アマゾン無宿の源次が入国します。そう言った輩が覇権争いで騙し合うというストーリーです。14分、賭博場で源次は熊吉のイカサマを見破り、左袖からスペードAを取り上げます。そしてテーブルに赤裏のBeeをスプレッドし、互いに1枚ずつカードを引いて、高いカードだった方が負けた相手の命を貰うという賭けをします。熊吉が引いたカードは“この上なしのハートA”でしたが(スペードではなく、ハートが1番強いようです)、源次はジョーカーで勝ちます。そこへスペードのジャックが割って入り、源次もイカサマをしており、メキシカン・ハットにジョーカーを隠しており、そこからスチールしていたことを暴露するのでした(デックは賭博場にあったものではなく、源次がポケットから取り出したものなので、同じ裏のジョーカーを用意していることができるのです)。3人は香港から逃亡してきた麻薬団の大物、竜源昌に雇われます。36分、竜と3人とユートピア教団の理事長、西園寺の5人でポーカーをする時に、竜の秘書の玉琴がグラスを給仕する際に、お盆の裏の鏡に西園寺のカードを映して、持っている手を竜に知らせます。
片岡千恵蔵は現代劇でも時代劇の演技を貫いているので、全体に妙な雰囲気です。大映の多羅尾伴内シリーズと比べると、かなりおちゃらけた感じです。本人はメキシコ風、ウェスタン風のコスプレまでして楽しそうに演じていますが、実際のところはどういう気分だったのでしょう?最後まで、何が大魔王なのか分かりませんでした(因みに、同年には姉妹編「ヒマラヤ無宿 心臓破りの野郎ども」が制作されています。千恵蔵がヒマラヤのウラン鉱山をめぐる陰謀を暴くというストーリーですが、低予算のため?日本が舞台です)。画面は総天然色という表現が似合いそうなケバいセット。無駄に国際的スケールなのに、主要人物は全て東洋系、ていうか日本の俳優ばかりで低予算を感じさせます。何でもありの荒唐無稽で、のんびりしたストーリー展開、人物設定とネーミングのセンスなどは、小林旭の日活無国籍映画を真似てのことでしょうが(悪党のひとりが潜入刑事だったというのも同じ)、片岡千恵蔵と進藤英太郎に小林旭と宍戸錠の代わりはできないんですよね。途中で北海道を舞台にしたのは、帽子を投げ上げてから打ち合うウェスタン・スタイルで決闘がしたかったからでしょう(牧場の名がOKi牧場と、OK牧場のパロディ)。この頃の映画の銃撃戦では、銃声がしてから避ける動作をしますが、その時には既に弾が当たっているか、外れているので避ける動作は必要無いと思います。梅宮辰夫が若い!最初に見た時、気が付きませんでした。久保菜穂子はスタイルの良さは日本映画界随一と言われるだけあります!
次回は東映での片岡千恵蔵の多羅尾伴内シリーズです。
4月13日 13時~ 「世界おもしろマジック PART III」 BSよしもと
4月14日 18時~ 「世界おもしろマジック PART III」 BSよしもと
ゼンジー北京、マギー司郎らが出演。