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コラム

第34回 世界を賭ける恋(2024.3/21 up)

コラム読者からのお便り。

「私はあなたの出版しているFour of a Kindを創刊号から楽しく読んでいます。庄野隊長のトリックが載った号はあまりに面白かったので、次からは買うべきか悩んでいるほどです」

気を取り直して本題に入りましょう。まずは主題歌から。

『世界を賭ける恋』

世界を賭ける恋

監督:滝沢英輔
原作:武者小路實篤(愛と死)
出演:石原裕次郎(村岡雄二), 浅丘ルリ子(野々村夏子), 葉山良二(野々村欽也), 南田洋子(野々村かおる), 梅野泰靖(大宮)
製作:日活
公開:1959年
上映時間:105分

日活のアクションや青春路線と並行して制作された文学作品の1本です。日活の製作再開5周年記念映画として大々的なヨーロッパ・ロケを行なっており、観光映画の要素もあります。この頃の映画というのはテレビが無かった時代ですから、観光、歌や踊りといったバラエティーの要素も多分にあります。原作の「愛と死」という題から想像できるように悲恋ものですが、石原裕次郎のイメージには合わないです。石原裕次郎がこういった作品に出ているのは、他に思いつきません。物語の終盤まで、雄二と夏子の純愛もので、何の障害も無くストーリーは展開しますが、知らないで見ていると最後に訪れる悲劇にはびっくりするでしょう。恋愛映画か悲恋ものかどっちで宣伝するのか、やり方が難しい映画だと思いました。尤も、原作は白樺派として知られる武者小路實篤の代表作なので、多くの人が読んでいたか、ストーリーを知っていたと推測されます。因みに、主人公は原作では駆け出しの小説家でしたが、映画では若手の建築家になっています。

新進気鋭の建築家、村岡は村岡の才能を認める批評家、野々村鉄也の誕生パーティーに呼ばれます。10分、パーティーに遅刻していくと、友人の大宮が余興で、シガレットのプロダクションを演じています。演じている梅野泰靖は映画「ラヂオの時間」にも出演した俳優ですが、スライハンドで行なっているので、多少、マジックの心得があったのだと思います。因みに、キャストにマジック指導者の名前はありません。石原裕次郎シアター DVDコレクション 36号に収録されていますが、Amazonプライムでも見られます。

次回からは大映へと移り、片岡千恵蔵の作品をいくつか紹介していきます。

トピック

3月22日 21時~ 「世界マジック紀行 IN スペイン」 NHK BSプレミアム4K


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