9月14日はホテル・アウィーナ大阪で行われたRRMC「石田隆信作品集 PART2」出版記念パーティーに行ってきました。
参加費¥3,500でそれよりも高い作品集がお土産に付いてくるので、特に近場の方は参加すべきイベントです。因みに、この作品集を読んでみて、セルフ・ワーキング・トリックは、他のマジックと比べて、その作品に改善の余地があり、その度合いが大きいものだと思いました(コイン・アセンブリーでコインの集め方をちょっと変えたり、カード当てで客の選んだカードのコントロール方法をダブル・カットからパスに変えたといった程度の改案をよく見かけ、そうなりがちですが、その程度では改良とは言えないということです)。今回の作品集には改案が多かったですが、改案の域を超えている、新しいトリックに見える作品が多かったです。
40名以上の方が来場され、満席でした。マジック・ショー、レクチャー、作品集に掲載されたトリックの模範演技など、各催しも短い時間でサクサク進められ、凝縮した感じでした。庄野会長のオークションでは、テンヨーの廃盤品が多く出品され、コレクターの人たちには嬉しかったでしょう(それも¥1,000程度で落札!)。去年の問題点が色々と改善されていましたが、やはり50名近くの観客に対してクロース・アップは見えにくいということで(テーブル上で行われる演技は少なく、見せ方を心得ている方々なので、私は特に見えにくかったということは感じませんでした)、来年は趣向を変えて、サロン・マジック主体にしたいそうです。会の蓄えが多くなりすぎているので、それを消化するために催しを開いているそうですが、それでも消化できず、いつまでも続けられそうなのが1番のマジックです。
今回は「刑事コロンボ 第46話 汚れた超能力」を紹介すると言いましたが、刑事コロンボに手品が出てくるものはもう1本あり、そちらを先に紹介します。
原題:Columbo (Troubled Waters)
監督:Ben Gazzara
出演:Peter Falk(Colombo), Robert Vaughn(Hayden Danziger), Poupée Bocar(Rosanna Wells), Dean Stockwell(Lloyd Harrington), Curtis Credel(The Magician)
放送:NBC
時間:98分
日本放送:1976年1月3日
製作国:アメリカ
今回は大型客船を舞台に、ゲストも「0011ナポレオン・ソロ」のロバート・ボーンと豪華な回で、船の上で鑑識もおらず、指紋採取や弾道検査もできない状況で、いかにして犯人を追い詰めていくかが見所です。
中古車ディーラーの社長であるダンジガーは、浮気相手のショー・ガール、ロザンナから口止め料をゆすられています。妻のシルヴィアが資産を持っているので、ばれたことで離婚にでもなったら、今の生活が失われてしまいます。ダンジガーはこの客船を何度も利用しており、船内は熟知していることから、入念に殺人計画を練ります。ダンジガーはプールで薬を吸い込み、擬似的な心臓発作を起こして、医務室へ運ばれます。ディナー・ショーの時間になると、医務室から抜け出して、乗務員専用階段を使ってロザンナの部屋へ行き、ショーの合間に着替えに戻って来た彼女を射殺します。急いで医務室へ戻ることで、犯行時刻は寝ていたというアリバイを作り上げたのでした。コロンボ夫妻はクジでメキシコへの船旅が当たり、乗り合わせています。ピストルの消音のため、枕を使ったことで羽毛がダンジガーの体にくっつき、それが医務室に落ちていたことから、コロンボは彼が怪しいとにらみます。
44分、船内でマジック・ショーが行われます。演者が3枚のカードを臍の辺りでファンにして持ち、背後にはガラスの板が置かれています。助手のステラが38口径の拳銃を演者に向けて撃つと、背後のガラスだけが砕け散り、3枚のカードの内、真ん中のQだけに穴が開いています。演者の後ろには楽団員たちがおり、そっちへ向けて銃を撃つのは、観客にいらぬ心配をさせるので、良い見せ方じゃないですね。何故、マジック・シーンがここで出てくるのかと思うかもしれませんが、この拳銃の存在が、後でストーリーに関係してくるので、理にかなったマジックの登場と言えます。
中古車ディーラーだと合い鍵を作ることが普通にあることや、上で述べた銃の存在など、細かいところまで脚本が練られています。お勧めの1本です。