政治関係の取材用語で“メモ合わせ”というのがあります。総理や大臣などが公式会見後にぶら下がりで非公式のインタビューを受けますが、オフレコなので録音は禁止、中にはメモを取ることさえダメな政治家もいます。当然、全部、覚えられないわけですが、その後で直ぐに各紙の記者たちが集まって、聞いたことを持ち寄って確認をします。これをメモ合わせと言いますが、マジック界でも行われています。マジックランドの第2回箱根クロース・アップ祭りでダローが最初に来た時に、アルティメイト・アンビションを演じました。
ご存じのように、1982年のFISMのカード部門で優勝した時のトリネタで、ロープで縛ったデックで行うアンビシャス・カードには、会場の全員が驚きの声を上げました。ショーの後、参加者たちは感想を話し合ったのですが、ロープの結び目が変化していた、と言った情報を持ち寄り、“メモ合わせ”が行われたのでした。そうそう、1992年にSAMジャパン第1回世界マジック・シンポジウムでマーチン・ナッシュがプライベート・レクチャーした際に、メモを取ったら追い出すと言ったそうです。その時は同時に他のレクチャーも行われており、私はジョニー・ハートの方に出ていたので、その場にはいなかったのですが、マネされることを恐れるのなら、やらなければいいのにと思いました。それを心配するようじゃ、腕は大したことないですよね。
オープニングからどうぞ。
原題:McCloud(The Park Avenue Rustlers)
監督:Jack Arnold
原案:Herman Miller
出演:Dennis Weaver (McCloud), J. D. Cannon (Chief Clifford), Brenda Vaccaro (Margaret Sereno)
放送:NBC
日本放送:1975年2月8日
時間:73分
製作国:アメリカ
「警部マクロード」はNBCのThe NBC Mystery Movieという枠で「刑事コロンボ」などと交代で放送されていた刑事ドラマです。ニューメキシコ州タオスの保安官補サム・マクロードは研修のためにニューヨークにやってきます。田舎者と馬鹿にされながら、持ち前の行動力で周りを巻き込んだ大騒動を起こしながらも、事件を次々と解決していきます(因みに、クリント・イーストウッド主演の「マンハッタン無宿」はこれの原型です)。1話完結で、47話制作されました。
第17話「潜入捜査」はマクロードが犯罪組織に潜入して内偵する話です。この回のスペシャル・ゲストとして婦人警官マーガレットを演じるのは「カプリコン1」や「ウィーク・エンド」のブレンダ・バッカロです(他にこの回は「ローマの休日」のエディ・アルバート、「猿の惑星」のロディ・マクドウォールと豪華ゲスト!)。マクロードがサツの犬だと怪しむ組織はマクロードの部屋に盗聴器を仕掛けます。盗聴されていることを知っているマクロードは、ベッド(盗聴器から遠い)で恋人役に扮したマーガレットに入手した情報を報告します。組織の男が盗聴をしながら、暇つぶしにカード技法を練習するシーンが3回出て来ます(カードのカラー・チェンジ、バック・パーム、「Four of a Kind Vol.2 No.2」 p.51に解説したデックの半分を人差し指で手から手へ飛ばすフラリッシュ(図))。犯罪者にもマニアはいるのですね。
次回は「刑事コロンボ」で、マジシャンが犯人役の回です。
参考文献
1) 栗田研:「警部マクロード」『Four of a Kind Vol.9 No.3』(チェシャ猫商会, 2005) p.295
9月1日 14時~ 「プレステージ」 BS10スターチャンネル
9月3日 13時15分~ 「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」 WOWOWシネマ
9月4日 12時50分~ 「トリック劇場版 ラストステージ」 WOWOWシネマ