コラム | マジック用品グッズショップ（手品ショップ）フレンチドロップ

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第99回　俺たちスーパーマジシャン(2025.6/27 up)

今回もマジシャンが主役の映画で書くことが多いので、いきなり本題に。前回のランス･バートンとくれば、次はデビッド･カッパーフィールドでしょう。声優も含めると10本くらいの映画、ドラマ、アニメに出演しており、本人役が多いです。まずは予告編からご覧ください。

『俺たちスーパーマジシャン』

原題：The Incredible Burt Wonderstone
監督：Don Scardino
製作：Steve Carell、他
出演：Steve Carell (Burt Wonderstone), Steve Buscemi (Anton Marvelton), Jim Carrey (Steve Gray), Olivia Wilde (Jane), Alan Arkin (Rance Holloway), James Joseph Gandolfini Jr (Doug Munny), David Copperfield (本人), Michael Herbig(Lucius Belvedere)
マジック･テクニカル･アドバイザー：Jonathan Levit, Jim Steinmeyer, David Kwong
配給：ワーナーブラザース
公開：2013年(日本未公開)
上映時間：100分
製作国：アメリカ

スティーヴ･カレルとスティーヴ･ブシェミが、少年時代は友情で結ばれていたけど、現在は不和なラスベガスのマジシャン･コンビを、ジム･キャリーがライバルとなる不気味な“スーパー･マジシャン”を演じています。マジックのアドバイザーは、ジム･ステインメイヤー、第97回で紹介した「X-ファイル」でもアドバイザーだったジョナサン･レビットらです。デビッド･ウォンはパズリストでもあり、クロスワードを使ったトリックが一見の価値ありです。

冒頭3分、バートは誕生日に母親からマジシャン、ランス･ホロウェイのマジック･キットをプレゼントされます。中には悟空の玉、ポケット･リング、ヒンズー･カップ、サム･チップ、レクチャー･ビデオなどが入っています。ビデオの中でホロウェイは空中から卵を取り出して口に入れ、口から鳩が出ます(特撮。予告編で見ることができます)。最初に解説されるのは鼻からペニーを取り出すトリックです。学校で給食中にシルクをサム･チップで消し、それを見て驚いたアントンに種を明かします(直ぐに種を明かす流れだからか、サム･チップが堂々と見えています)。２人は友達になり、バートはアントンを家に呼び、手品を見せます。バートはシルク･ハットを改め、中から紙吹雪を出します。２人はアイデアを出し合い、色々練習します(悟空の玉、ボールをフレンチ･ドロップで消す(予告編で見ることができます)、ポケット･リング、フラワー･チューブ)。大人になり、ついにラスベガスで“驚異のバート＆アントン”というショーを行うまでになります(バート＆アントン･シアターという割には、舞台装置などがしょぼいです)。それから10年後、「ハングマン」(バートが死刑執行人役で、アントンは頭に布を被せられて首つりになりますが、２人は入れ替わっているという現象。ワン･カットで、カメラの死角を利用していますが、すり替わるところなど実際に演じています)、「ロッカー脱出」(ロッカーにバートと助手のジェーンが入り、アントンが剣を刺す)、「男の頭女の体」を演じます。その後、２人が行ったバーではライバルのリックがバーテンに$100札を掴ませますが、その瞬間に$１札になってしまいます。外ではスティーヴが「脳みそレイプ」という番組の撮影をしています。客に向かって火の玉を飛ばし、その後、デックから１枚選ばせ、カードの表に引いた人の母親の名前を書かせ、デックに戻し、デックをポケットに入れます。引いた男の母親を侮辱し、怒った男はスティーヴを殴ります。すると、ほっぺたが腫れて膨らみ、瘤をナイフで切ると中から血まみれのサインしたカードが出てきます。

催涙スプレーを浴びても平気、12日間、尿を我慢するといったデビッド･ブレインばりの芸を見せるスティーヴにバート達は押され気味。30分、人気回復を目指し、２人はクレーンで吊ったクリアな箱に入り、一週間過ごす「ホット･ボックス」という芸に挑戦しますが失敗し、アントンは骨折、２人は仲違いします(予告編で見ることができます)。

バートは２人でやっていたショーを１人で演じ、不評を買います。

43分、首になったバートはジェーンの家に泊めてくれとやってきます。ジェーンは２人で組んでやらないかと提案し、バートの腕時計をスリ、元のところに戻し、財布をスリ、入っていた$５札を蝶に変えます(編集によるカメラ･トリック)。

バートはデビッド･カッパーフィールドに２人で組んで“驚異のバート＆デビッド”で売り出そうと提案しますが断られます。写真の後ろに映っているのはデス･ソウでしょうか？因みに、デビッド･カッパーフィールドが東京国際フォーラム、ホールAで行った公演では、ある席からデス･ソウのネタが見えていたそうです。

量販店ビッグ･ロッツでのペーパー･ナプキンの実演販売でワインをミラー･グラスに注ぎ、シルクに変えます。介護ホーム(ショー関係の人が入っている)のための芸人募集の公告を見て、そこで老婆の腕時計を消して泣かします(消すところはラッピングでしょうか？予告編で見ることができます)。そして大勢の人に対してカード当てを見せようとしますが、ちゃちゃを入れてくる人がいます。それは憧れのマジシャン、ランス･ホロウェイでした。何故、野次を飛ばしたのかを聞くと、君自身に問題がある、ザロー･シャッフルやエルムズレイ･カウントは酷いと具体的な技法名で言います。56分、バートは再びランスに会いに行き、教えを請います。カードのバック･パームを練習し、ランスは塩の瓶をテーブルに置き、中の塩が瓶の中で増えていき、鳩となって飛び立っていきます(特撮。予告編で見ることができます)。

61分、スティーヴは子供にバットで体を叩かせると口から大量のキャンデーが出てくるという芸をします。63分、バートとランスは介護施設でボールのマニピュレーションやコイン･ロールをします。

70分、雇い主であるダグの子供、ジューダの誕生日パーティでバートとスティーヴはマジック対決をします。バートはマイザーズ･ドリームで子供の耳の後ろからレギュラー･コインやジャンボ･コインを取り出せば、スティーヴは火を着けたキャンドルに腕を押し当てると、ハッピー･バースデー、ジューダの文字が現れます。バートは衣装チェンジをし、スティーヴは額でテーブルに釘を打つ芸をします。バートは風船で犬を作り、割ると本物の子犬になります(編集で繋いでいます)。スティーヴは子犬をバートのズボンに押し込むことで消し、プレゼントの箱から別の犬を取り出し、移動したことを見せます。

バートはアントンと再び会い、仲直りをします。83分、バートはベッドで服を着ているジェーンからブラを抜き取ります。ジェーンはバートの耳の後ろからコンドームを取り出しますが、バートはサイズが小さいと言い、ビッグ･サイズにスペルバウンドでチェンジします。ダグ･カジノ･ホテルのオーディションで、スティーヴは頭にドリルを打ち込んだのに対し、

バート＆アントンはクラトムの葉を使い、観客全員が一瞬に別の場所へ移動するという「消える観客」をやって５年間の出演契約を取り付けます。

「小さなバイキングビッケ」の監督ミヒャエル・ヘルビークが出ています。アントンを演じるスティーヴ･ブシェミは当時、56歳。物語の設定では30～40歳のはずですが、かなり老けた感じでした。「レザボア･ドッグス」のMr.ピンク、「ファーゴ」では誘拐犯の片割れなど、チンピラ役が板に付いている脇役俳優ですが、昔はスタンダップ･コメディもやっていたので、コメディ映画はお手の物でしょう。

B級映画で、できとしたら中程度ですが、ジム･キャリーのいかれっぷりは面白いです。マジック･シーンは沢山出てきて、編集や特撮で処理したところもありますが、デビッド･カッパーフィールドが一瞬だけですが出てきますし、ザロー･シャッフルといった専門的な台詞が出てくるので、マニアの人は見てもよいでしょう。以下は、映画に対するカッパーフィールドへのインタビューです。

日本未公開ですが、DVDやU-Nextで見られます。

次回はついに連載第100回、デビッド･カッパーフィールドがカメオ出演する映画「プレタポルテ」です。