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コラム

第93回 The Great Houdini(2025.5/16 up)

アメリカで最も有名なマジシャンと言えば、デビッド・カッパーフィールドではなく、やはり英単語や切手にもなっているフーディーニでしょう。ドキュメンタリー番組もここで2本紹介しましたが、他に4本、見たことがあります。それ以外に、映画やドラマの会話の中でちょっと出てきたものも入れると、枚挙にいとまがありません。切りが無いのでこの辺にしておきましょう。


『The Great Houdini』

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原題:The Great Houdini
監督:Melville ShavelsonM
脚本:Melville Shavelson
出演:Paul Michael Glaser(Harry Houdini), Sally Struthers(Bess Houdini), Ruth Gordon(Cecilia Weiss), Bill Bixby(Rev. Arthur Ford), Peter Cushing(Arthur Conan Doyle)
テクニカル・アドバイザー:Harry Blackstone Jr.
放送:1976年10月8日
上映時間:95分
製作国:アメリカ


「魔術の恋」に続く2本目の伝記ドラマで、フーディーニ没後50周年に製作されました。フーディーニを演じるのは、その頃に放送されていたテレビ・ドラマ「刑事スタスキー&ハッチ」のスタスキー刑事役で人気が出たポール・マイケル・グレイザー。テレビ・ドラマ「The Magician」のビル・ビクスビーも最初と最後に出ています。ベスの役は「ゲッタウェイ」(1972年版)でアル・レッティエリ演ずるルディ・バトラーに連れ回される獣医の奥さん役が印象的だったサリー・ストラザースで、今回もお馬鹿な役。そして、コナン・ドイルにはヴァン・ヘルシング博士というより「スター・ウォーズ」のターキン総督と言った方が分かりやすいピーター・カッシングと豪華キャスト(他にも、「ローズマリーの赤ちゃん」でアカデミー助演女優賞を受賞したルース・ゴードンや、後にジョン・カーペンター監督と結婚して、監督の作品に何本か出演したエイドリアン・バーボなど)。アメリカではビデオ化されおり、YouTubeに違法にアップロードされたものがあります。ここにはリンクを貼り付けませんが、The Great Houdini 1976で検索すれば出てくるでしょう。

タイトル・バックでは、棺桶などから色々な脱出シーンが描かれます。死後2年目の命日にベスはフーディーニの墓へ行くと、そこで心霊術協会のアーサー・フォード牧師が話しかけてきます。しかしベスは彼の申し出を断り、家へ帰ります。夜に嵐でフーディーニの母の写真が壁から落ち、ビックリしたベスは階段から転げ落ち、回想シーンに入ります。フーディーニとベスが出会って10日目に役所に結婚届けを出し、ベスを母に紹介しますが、父親はラビだったので、カトリックのベスを母は快く思いません。イライラしながら裁縫をしている母はフーディーニに針に糸を通してくれと渡すと、いきなり“針飲み”をします。結局、2人はカトリックとユダヤの両方で結婚式をあげます。2人は小さな劇場で人体交換を行います。但し、歌いながら演じ、現在、行われている一般的な方法とは違い、フーディーニが箱に入り、ベスは箱の前で中幕を閉めると、その後、幕の向こうからフーディーニが出てきます。しかし、鍵が無いためトランクを開けられず、失敗し、観客は怒って帰ってしまいます。その後、出し物をエスケープへと変更し、手錠を填めて海に飛び込みますが、錠に仕掛けをされて、失敗に終わり、それが原因でベスは流産してしまいます(実際には、ベスは子供が産めなかったそうで、流産したのかは分かりません)。アメリカでは稼げないからとイギリスへ行きます。興行師とコナン・ドイルとスコットランドヤードの警視がパブに食事に来た時に、空中から名刺を取り出して売り込みます。店の人と警官が来て、腹を殴られますが平然としており、更に手錠を掛けられますが外したことで、牢屋から抜け出る話になります。牢屋の前でベスはキスする時に口移しで鍵を渡そうとしますが、失敗します。しかし、フーディーニは警視の背中に一端、ピッキング道具を貼り付け、身体検査後に回収して、エスケープを成功させます。錠の位置は鉄格子から離れており、「魔術の恋」のように、足で道具を操作して開けます。足でロック・ピッキングをするのは現実的な方法ではないので実際にやったとは思えませんが、ここは「魔術の恋」にあやかったのだと思います。有名になり、大きな劇場で人体交換を演じます。ここでは中幕ではなく、移動式のカーテンが使用されています。アメリカへ戻り、ミルク缶エスケープを演じます。ヨーロッパ公演中に母親が亡くなります。ここまでが前半。

後半は降霊術の話になります。公演を取りやめ、母の死を悲しんでばかりいるので、ベスは去っていきます。母が自分に何を言いたかったのかを知りたく、降霊術に傾倒しますが、結局はいかさまを見破ることになります(母は英語は話せず、フーディーニのことをハリーとは呼ばなかった)、そして精神的に病んでしまい、入院します。ベスが面会に来て立ち直り、降霊術を暴くショーを行い、観客からはブーイングを浴びます。公聴会に呼ばれて証言することになり、そこでは足でベルを鳴らしたり、テーブルを持ち上げるいかさまを披露します。その後、出番前に楽屋に学生が来て腹を殴り、無理を押して舞台に立ったことで水槽脱出に失敗して死にます。そしてフーディーニが死んで2年後、ベスは牧師の申し出により降霊術を行い、2人しか知らないことを牧師は言います。新聞は失敗したと書きましたが、死者との交信は成功したことで物語は終わります。

他のドラマではフーディーニの霊を呼び寄せる降霊術が失敗しているのに対し、このドラマでは成功して終わっているところが異なります。実際にベスはフーディーニと交信したという説もあり、それを採用したのでしょう。実生活ではベスとフーディーニの母の間に確執はありませんでしたが、このドラマでは宗教の違いにより、諍いが描かれています。又、水槽脱出に失敗したことで死にますが、溺れるシーンだけです。「フーディーニ/天才魔術師の生涯」では水槽を割って流れる水のアップでごまかしています。劇映画の「魔術の恋」では本当に破壊してドバッと水が流れ出るシーンを映していますが、製作費の違いですかね。

次回はフーディーニと同じ時代にショー・ビジネスに革命を起こし、サーカスという言葉を作った興行師、フィニアス・テイラー・バーナムの伝記ミュージカル映画「グレイテスト・ショーマン」です。

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5月17日 18時30分~ 「ネタバレ」 フジ


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