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コラム

第91回 フーディーニ/天才魔術師の生涯(2025.5/2 up)

4月28日には東京国際フォーラムへ「スーパー4Kマジックショー Mr.マリック超魔術団2025」を見に行ってきました。2、3階席まで埋まっていたようですが、スクリーンを使っているとは言え、上の方の席からだと見えないので、安くしてもいいと思いました(全席指定大人¥8,800)。マギー司郎が拘束着から抜け出る演技の時にフーディーニの話が出て来て、没後100年目と言っていました(1926年10月31日没)。


『フーディーニ/天才魔術師の生涯』

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原題:Houdini
監督:Pen Densham
製作:Leanna Moore
出演:Johnathon Schaech(Harry Houdini), Emile Hirsch(Young Harry Houdini), Stacy Edwards(Bess Houdini), Paul Sorvino(Blackburn), Rhea Perlman(Esther), David Warner(Sir Arthur Conan Doyle), Mark Ruffalo(Theo), George Segal(Beck), 島田晴夫(Street Magician)
放送:1998年12月6日
時間:95分
製作国:アメリカ


文字通りフーディーニの生涯を描いたテレビ・ムービーで、アメリカではDVD化もされ、日本では2000年11月2日にWOWOWで放送されました。現在、配信サービスしているところは無さそうですが、YouTubeに違法にアップロードされたものがあります。ここにはリンクを貼り付けませんが、Houdini 1998で検索すれば出てくるでしょう。

冒頭、刑務所から脱出を試みるシーン。皮膚に埋めておいたピッキング道具を抜き出し、それを使って錠破りをします。続いてフーディーニが死んで10年後のハロウィンの夜、ラジオ番組主催の10回目の降霊会のシーン。ラジオからもフーディーニの霊に呼びかけます。子供時代に遡り、この後、過去と現代が交互に描かれます。実際にエリック(フーディーニの本名)は父が亡くなる時に、母親の面倒を見るように言われ、その教えを守ったそうですが、そのシーンが出てきます(ドラマでは少年ですが、実際に父が死んだのはフーディーニが18歳の時です)。裁縫工場で働くフーディーニはロベール・ウーダンの本を弟のテオから見せられ、マジックに興味を持ち、テオと一緒に練習します。カードでシャーリア・パスのようなことをしたり、コイン・ロール、フレンチドロップ、鍵開け。9分、ストリート・マジシャンで島田晴夫が登場。和服姿で登場し、違和感があります。フーディーニがボール・ロールの練習。マッチ箱を開けるとマッチが立ち上がるライジング・マッチを見せると、島田晴夫が火の着いたキャンドルにシルクを掛け、ミニ傘にします。フレンチドロップの練習。屋上で、テオと2人で人体交換の練習、果物?にハンカチを掛けてゾンビ・ボール、ファン・カード、コイン・ロール、カードを口から出すことなどを練習します。2人はオーディションを受けに行きます(会場では、トーチ・ジャグリングをやっている人がいます)。そこでフローラル・シスターズ(実際に所属していたグループ)としてオーディションに来ていたベスと知り合います。フーディーニとテオは人体交換を見せて合格しますが、ベスに言い寄った興行師をフーディーニは殴り倒したため、採用されませんでした。その時にドレスが破れてしまったので、フーディーニの母のところへ連れて行き、直してもらいます。そこでフーディーニはバラを取り出します。彼女を家まで送っていく途中、歩きながらフレンチドロップでコインを消し、空中からカードを取り出し、フラッシュ・ストリングスからシルクを出します。市場のその辺から針を借りて針飲みをし、折り紙の鳥を浮かせます。フーディーニはユダヤ教でベスはカトリックという障害がありましたが、フーディーニは指輪をプロダクションし、2人は結婚します。

沢山の出し物のひとつとして夫婦で舞台に立ち、人体交換を行いますが、なかなか有名にはなりませんでした。そこへ興行師のマーティン・ベック(第88回「グレイテスト ミステリー」で登場した実在の人物です。最初に見た時、演じているのは「バージニア・ウルフなんかこわくない」などに出ていたジョージ・シーガルだと気がつきませんでした)が色々とアドバイスしたことで、危険術や脱出へと題材を変えます。ミルク缶からの脱出では、観客に息を止めさせている間にフーディーニはミルク缶を改めていきます。息を止められなくなった人が出てくることで、いかにそれが大変かを実感させる上手い見せ方です。ただ、この辺りのドラマの演出はちょっと過剰な気がします。有名になり、鎖で縛られ川に飛び込むアクト。女の子の耳からコインを取り出します。ビルからぶら下がって拘束着からの脱出や、色々な状況下で脱出を披露します。

ヨーロッパでもミルク缶からの脱出は好評を博しますが、公演後、母親が亡くなった知らせが入ります。死に際に会えず、母と会話したいフーディーニは賞金を出して多くの霊媒師に会いますが、結局は降霊術のインチキを暴き、アメリカで私から安心できる霊媒師はいないと豪語します。コナン・ドイル(演じるは「タイタニック」にも出演したデビッド・ワーナー)に会い、エジソンが死者と交信する機械を作った話を聞きます(この話は、「フーディーニ&ドイルの怪事件ファイル 謎解きの作法 第9話 死者との通信」でも出てきました)。ドイルの妻が降霊術で、フーディーニの母からのメッセージを書きますが、母は英語が出来ず、フーディーニのことをハリーとは呼ばず、Ehrie と呼んでいたことでトリックを暴かれてしまいます。霊媒師ハンターばかりしていることでお金が無くなり、ハリウッドで復帰公演をすることにしますが、ベスは去っていってしまいます。鎖からの脱出などを演じた後、楽屋で腹を殴られます。その後も公演を続け、足を骨折しているという連絡を受けたベスは戻ってきます(実際に、腹を殴られる前の公演で足を骨折していたと言われています)。水槽脱出の舞台にベスは現れます。しかし、フーディーニは失敗し、ベスは水槽を叩き割ります。死んで10年後の降霊術のシーン。霊媒師が話した内容で、ベスは信じかけますが、霊媒師が探偵を雇ってリサーチしていたことを弟に暴かれます。

史実では水槽を叩き割ってはいないのに、「魔術の恋」や本作で水槽脱出の失敗として描かれた理由は、水槽を割るところがドラマのクライマックスに相応しい見せ場であることと、実際の最後の公演では途中で意識を失い、その後、意識を取り戻して続けたと言われており、それから由来したのだと思います。

「魔術の恋」のようにハリウッド的な改変はせずに、私が聞いて知っているような(本当の可能性が高い)、史実をベースにしたストーリーです(但し、実際のフーディーニとベスは出会って直ぐに結婚はしていません)。フーディーニが生身の人間としてかなり人間臭く描かれており、ご存じのようにマザコンで、夫婦ゲンカや弟との確執もあり、ちょっと誇張した感じはあります。最初、フーディーニに似てないなと思って見ていましたが、終盤が近づくにつれて、本人に似てきます。マジック・シーンに関しては、マジック・マニアが見て感心するほどではないですが、まあまあと言えるでしょう。島田晴夫が出演しているのは監修もしているからだと思うのですが、確認できませんでした。フーディーニは死の間際に、死後の世界があるなら必ず何らかの方法で連絡すると言い残したそうですが、その言葉が伏線となるラスト・シーンだけは史実と大きく変えており、これはこれでドラマ的なうまい終わり方だと思いました。

フーディーニの肉声はちょっとだけ残っています。後から聞くと思っていたのとだいぶイメージが違いますね。

次回は、フーディーニと同じ時代、少女が撮った妖精の写真でイギリス中が大騒ぎになる「フェアリーテイル」を紹介します。

トピック

5月には、このコラムで紹介した映画「斉木楠雄のψ難」(第14回)、「シンシナティ・キッド」(第20回)、「リーサル・ウェポン2 炎の約束」(第57回)、「シックスセンス」(第62回)、「ブラック・ダイヤモンド」(第85回)が放送されます。見逃した方はどうぞ。これらの中でどれがお勧めかと問われれば、「シックスセンス」でしょう。

4月28日 13時~ 「ミッション:インポッシブル」 NHK BS

5月2日 11時45分~ 「リオ・ブラボー」 ムービープラス

5月3日 12時15分~ 「リーサル・ウェポン2 炎の約束」 ザ・シネマ

5月6日 21時~ 「ジョンウィック:コンセクエンス」 ザ・シネマ

5月7日 13時~ 「シックスセンス」 NHK BS

5月8日 13時40分~ 「ブラック・ダイヤモンド」 テレ東

5月8日 17時~ 「グレイテスト・ショーマン」 ザ・シネマ

5月12日 10時~ 「トリック’03 ①」 テレ朝チャンネル2

5月12日 16時30分~ 「シンシナティ・キッド」 ムービープラス

5月12日 21時~ 「斉木楠雄のψ難」 WOWOWシネマ

5月13日 9時~ 「トリック’03 ②③」 テレ朝チャンネル2

5月14日 9時~ 「トリック’03 ④⑤」 テレ朝チャンネル2

5月15日 9時~ 「トリック’03 ⑥⑦」 テレ朝チャンネル2

5月16日 9時~ 「トリック’03 ⑧⑨」 テレ朝チャンネル2

5月17日 14時~ 「リーサル・ウェポン2 炎の約束」 ザ・シネマ

5月17日 19時~ 「荒野の七人」 BS12トゥエルビ

5月19日 9時30分~ 「トリック’03 ⑩」 テレ朝チャンネル2

5月20日 11時~ 「古畑任三郎2 第8話 魔術師の選択」 日本映画専門チャンネル

5月21日 13時30分~ 「リオ・ブラボー」 ムービープラス

5月25日 14時~ 「天国から来たチャンピオン」 BSテレ東

5月26日 3時~ 「斉木楠雄のψ難」 WOWOWシネマ

5月29日 9時~ 「シンシナティ・キッド」 ムービープラス


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