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コラム



第63回 リフルシャフルとウォーターフォール(2013.11.1up)

はじめに

2000年代に入って、驚くべきフォールスシャフルが登場します。Karl Hein のヘインシュタインシャフル(ハインシュタインシャフル)やDerek DelGaudioによるデルガゥディオシャフルです。空中でのリフルシャフルの後、フラリッシュ的にそろえる操作のウォーターフォールを行う中で全体を元に戻しています。これらの方法は、何の知識もなければ繰り返し見ても混ざっているとしか思えません。恐ろしいシャフルが発表されたものです。今回はこのようなフォールスシャフルが出来上がるまでの歴史を調べてみました。ところで、ウォーターフォールを使ったフォールスシャフルは、これが最初ではありません。80年ほど前には別の発想によるフォールスシャフルが発表され、10数年前にはGuy Hollingworthも使用されています。さらに、元となるリフルシャフルやウォーターフォールについての歴史を調べますと意外なことが次々と分かってきました。そこで、これらについても興味深い点を中心に報告することにしました。

最近流行の空中で行うリフルシャフルのフォールスシャフル

空中で行うリフルシャフルの後で、必ずと言ってもよいほど行われているウォーターフォールを、効果的に使ったフォールスシャフルです。実際には、本来のウォーターフォールが行われていません。スプリングにより飛ばしているだけです。しかし、これをうまく行うと、ウォーターフォールしているのと同様に見えるのが驚くべき点です。このようなフォールスシャフルが最初に解説されたのは、2001年4月号のGenii誌です。Karl HeinによるThe Heinstein Shuffleです。多数のイラストも使って解説されているのですが、これを見た時の私の印象は、空中で行うザローシャフルかと思った程度です。その後で行うウォーターフォール(スプリング)により、混ざっていることを印象づけている重要性には気づいていませんでした。

2012年4月のマジックランド主催による箱根クロースアップ祭で デルガゥディオがゲスト出演されました。彼のレクチャーの中で、ウォーターフォールを使うデルガゥディオシャフルを実演され、この時になって、このようなシャフルの威力を認識しました。ウォーターフォールにより、混ざり合っているとしか思えなかったからです。その後、会場で藤井明さんにより同様の方法を目の前でくり返し見せて頂きましたが、混ざっているとしか思えませんでした。その後、大阪では、フラリッシュとカードテクニックの名手のアルスさんの方法も、目の前でくり返し見せてもらいましたが、混ざっているとしか思えませんでした。アルスさんの場合は、さらに巧妙に改良されていました。考えてみれば、世界でもトップクラスのテクニックを持ったマジシャンの実演ばかりを目にしてきたわけです。

後で分かったことは、デルガゥディオの方法が、2008年のGenii誌10月号に写真で詳しく解説されていることです。この号は前田知洋氏の特集号で、表紙も彼の写真となっている号です。なお、このGenii誌よりも1年前の12月にはBen EarlのDVD "Bens Past Midnight" が発行されており、その中のGrey Shuffleとほとんど同じであることが分かります。このGenii誌が発行されたすぐ後のGenii Forumで、そのことが話題になります。そこには、デルガゥディオ自身が長文で考案経過を報告されていました。Grey Shuffleが発表されるよりもかなり以前より、Steve ForteやDan and Dave、そして、ビル・マローンをはじめ多くの有名マジシャンにも見せたとのことです。2007年8月には、リチャード・カウフマンからのGenii誌への掲載依頼があり、承諾していたそうです。それから1年2ヶ月後に掲載されたわけです。結局は、二人ともそれぞれが独自で考案したようです。考えてみれば、レナート・グリーンが2004年のDVDの中で彼の方法を発表されていただけでなく、既にへインシュタイン・シャフルのDVDも発行されていました。その結果、その後、彼ら以上の同様な方法が同時期に発表されたとしても不思議ではなかったわけです。

元になるレナート・グリーンとジェリー・アンドラスのシャフル

上記の元になるフォールスシャフルを、レナート・グリーンは1990年代には既に行っています。1988年のFISMや、同じ内容で再チャレンジされた1991年のFISMにも使われていた可能性が高そうです。しかし、ハッキリしたことは分かりません。1997年FISMのゲスト出演の映像では明らかに使用されています。2004年発行のレナート・グリーンの6巻セットのDVDが、2009年にはスクリプト・マヌーヴァ社から日本語字幕版で発行され、その第4巻で彼の各種フォールスシャフルが解説されています。その中のリアル・グリーンシャフルがここで取り上げていますシャフルです。空中で逆ハの字型にしてリフルシャフルを行い、一直線に近い状態にしつつ絡んだ状態を外し、ウォーターフォール(スプリング)に続けています。その解説の中で、アンドラスのサタンシャフルの名前が登場します。それは数年前に発行されたアンドラスの3巻セットのDVDの1巻目に解説されています。しかし、本では1976年の「アンドラス・カードコントロール」に既に登場していました。さらに、これの元になるフラリッシュ的なシャフルが、1956年の彼の本「アンドラス・ディールス・ユー・イン」に解説されていることも分かりました。スプリングシャフルの名前がつけられており、これをフォールスシャフルに応用したのがサタンシャフルとなるわけです。

アンドラスのスプリングシャフルはウォーターフォールをする時のように親指を上にして右手に持ったデックから、ボトムの半分をスプリングして親指を上にした左手で受けとめるのが第1段階です。次にそろえた左手のパケットと右手に残っているパケットを同時にスプリングしてカードをシャフルしています。もちろん、ウォーターフォールと同じような両手の形で受けとめていますので、左右からのスプリングカードを一つの山となるようにしています。少しだけですが離れた状態で行うためにカードがはじけて飛び出しやすく、うまく手に受けとめるのが難しいシャフルです。反対側の親指に当たらないように、少し下向きにスプリングするのがコツのようです。アンドラスは手が大きいのに、ブリッジサイズしか使わなかったマジシャンですので、失敗するのが少ないのではないかと思いたくなります。フォールスシャフルとしてのサタンシャフルでは、一方のパケットを他方より少し高い位置にして、さらに、少し手前にしています。これは他方のカードと混ざらないようにするだけでなく、他方の親指に当たらないようにするためでもあります。もちろん、他方の親指は前方に位置している必要があります。上側のパケットの1枚のボトムカードをまず飛ばして、その後、両側同時にスプリングしています。

このサタンシャフルだけでは、特種なシャフルの印象があります。サタンシャフルの前に、空中でのリフルシャフルを加えたほうが自然なシャフルの印象が強くなります。空中でのリフルシャフルの後でウォーターフォールをするのが普通であるからです。そのような発想がレナート・グリーンのシャフルになったと考えています。しかし、グリーンのシャフルにもまだまだ問題があります。リフルシャフル時の前面のカバーが大きく、ウォーターフォールも素早く終わりすぎる印象があります。グリーンのマジックでは、少し変わったカードの扱いと、少し速いテンポでマジックが行われており、彼がこのシャフルを行うのには適しています。しかし、彼以外が使った場合には違和感が生じるかもしれません。

2000年以降の発表では、ヘインシュタインシャフルがザローシャフルのようにトップカードでカバーすることによる改良が加えられています。空中でのリフルシャフルも前面をオープンに見せているだけでなく、ウォーターフォールも割合ゆったりと正面から見せています。ヘインシュタイン以降の改案でも、比較的に普通のシャフルに近い状態にみえるように、リフルシャフルの段階からスプリングまでいろいろ工夫されています。その一つが私の目を釘付けにしたデルガゥディオシャフルであったわけです。

レナート・グリーンと大阪との関わり

レナート・グリーンは1990年代に大阪のRRMCに2回参加されています。1回目は1994年の横浜FISMの後、タマリッツ、トパーズ、シーレン、マイケル・ウェーバーと共にRRMCに参加されました。この時にマジックを披露されましたが、今回取り上げたフォールスシャフルを行っていたかは覚えていません。2回目は1999年11月で、時間をかけて各種テクニックを目の前で見せてもらえました。この時には、このフォールスシャフルを含めた各種の方法を実演されました。私の印象では、彼独特のタッチのシャフルであり、私向きではないと思いながら見ていました。ところで、大阪では鎌苅吉良氏が早い時期から同様なシャフルを行っています。それは独自で考案されたのか、レナート・グリーンの影響を受けたものなのか分かりません。今回の報告までにお聞きする機会がありませんでした。鎌苅氏の方法は、普通の空中でのリフルシャフルとウォーターフォールに近い状態で行っており、その後の進化した方法の先駆けと言えそうです。

ウォーターフォールの後で引き抜く方法のフォールスシャフル

ウォーターフォールを使った古いタイプのフォールスシャフルが、1933年のイギリスのVictor Farelliにより解説されています。"Farelli Card Magic"の本の中の「ウォーターフォール・ブラインドシャフル」です。ウォーターフォールを行うのですが、一方のパケットをエンドから1センチほど突き出した状態で残しています。この突出部分を引き抜いてカットしたように見せています。これは実際に行うと分かりますが、うまく出来ません。完全に重なってしまったり、逆に、うまく突出させようとすると、サラサラと落下せずに、ウォーターフォールしたように見えない状態になります。これを改良した方法が、戦後に集中的に発表されます。シャフル時はデックが横向き状態になりますが、デックのサイドの演者側に突出させようとしたのが、1947年のMax Katzと1950年のHenry Hayです。1949年のル・ポールの本では斜めに突出させるようにしています。さらに、これらの改良された方法が、1990年代後半に集中的に発表されます。1997年のEric Andersonの方法や1999年のGuy Hollingworthの本の方法では演者側サイドに突出させています。また、1998年11月号のMAGIC誌のDanny Archerの方法では、一方がわずかに斜めになりように工夫されています。なお、この頃のレナート・グリーンは、同様な方法のフォールス・アングルシャフルを既に使われていたと思いますが、まだ解説はされていませんでした。

関西からの新発展のフォールスシャフル

Guy Hollingworthは1996年にマジックランド主催の箱根クロースアップ祭にゲスト出演され、その時に彼のフォールスシャフルが実演されました。その後のフリータイムの時に、その方法に関連して、Yuji村上氏がご自身の方法を披露されて彼を驚かせています。村上氏の方法は2009年発行の作品集 "Starting Members" の中で "Try-Out Shuffle" として発表されています。シャフルで一端を絡ませた状態で、右手で上方から鷲づかみにして左手へスプリングしながらそろえる方法を採用されています。二つのパケットが驚くべき状態になります。解説や映像では理解できても、実際に行うと、なかなか出来るものではないことが分かります。最近では、この作品集のDVDが発行されていますので、是非、映像でも見て下さい。なお、前回のRRMCの例会で川島友希氏は、本来のウォーターフォールをしているように見せながら村上氏と同様な状態にして、直ちにデックを元の配列に戻してしまうフォールスシャフルを実演されていました。

そして、新しい発想のフォールスシャフルが、鎌苅吉良氏により1999年8月には演じられていました。彼がドリブルオフすると部分的にアンチ・フェロウ状態になることに気付き、これをうまく取り入てたフォールスシャフルです。これは2001年5月号のGenii誌にスプリングによるアンチ・フェロウが発表されるよりも前のことになります。また、川島友希氏はスプリングによるアンチ・フェロウがかなり可能になっており、これをうまく取り入れた片手によるフォールス・フェロウシャフルを演じられていました。私の周りだけでも、これだけすごい存在がいますと、今後がさらに期待できそうです。 ここから以降は、本来のリフルシャフルやウォーターフォールについて分かった意外な点を報告することにします。

リフルシャフルとウォーターフォールの意外な事実

リフルシャフルは1894年のイギリスのJohn Nevil Maskelyne著「シャープ&フラット」の本に既に登場しています。この本により最初に解説されたと思うのですが確信は持てません。この本にはリフルとだけしか書かれていません。リフルがリフルシャフルを意味しています。1902年のアードネス著「エキスパート・アット・ザ・カードテーブル」の本でも同様でリフルだけの記載です。日本語版のアードネスの本では、分かりやすいようにリフルシャフルと書かれています。しかし、原書の再版では現在でもリフルのままです。リフルシャフルの用語が一般的になるのがいつ頃からかを調べましたが、今回は分かりませんでした。なお、リフルシャフルはギャンブルでの使用で、表を見せないシャフルとして登場しています。つまり、テーブル上で行うリフルシャフルです。

アメリカの文献を読んでいますと Dovetail Shuffle と書かれていることがあり戸惑います。これはフェロウシャフルのことを意味していると思っていましたが、広い意味に使用されてリフルシャフルのことも含まれているようです。ハトの尾に似ていることから名付けられたものと思われます。1920年のチャールズ・ジョーダンの本を始め、その後も数名の著者により書かれています。

空中で行うリフルシャフルの場合、ウォーターフォールに続けるのが一般的です。名前は前半のリフルシャフルと後半のウォーターフォールとは分けて、それぞれ別の技法名で呼んでいます。ところが、奇妙なことに、ロベルト・ジョビーの「カードカレッジ Vol. 1」の本では「ウォーターフォール・リフルシャフル」の名前になっていました。つまり、二つを合わせて一つの技法名にしているわけです。このようなシャフルの歴史を調べていますと、その理由が分かりました。この方法の最初の文献は、今回の私の調査では、1933年のイギリスのVictor Farelli著「カードマジック」の本となりました。フラリッシュの章に解説されていますが、リフルシャフルを含めて「ウォーターフォール・シャフル」の名前になっていました。1946年のイギリスのEdward G. Love著「カードファンタジー」の本も同様です。この影響を受けてロベルト・ジョビーの本も同様になった可能性があります。この本はドイツ語で最初に発行されていたものです。3冊だけですが、ヨーロッパの文献では いっしょにした名前で呼ぶことが多いのでしょうか。

これに対してアメリカの文献では、それぞれを分けた用語で書かれています。しかし、それぞれの名前が特に決まっていない点に問題があります。前半の空中で行うリフルシャフルの部分を、1940年代の数冊の文献でもバラバラで、「オフ・ザ・テーブル・リフルシャフル」、「エーリアル・リフルシャフル」、「リフルシャフル・イン・ザ・エア」と書かれていました。最近の本やインターネットでは「イン・ザ・ハンズ・リフルシャフル」の名前もよく目にします。なお、1938年の「グレーターマジック」を初めとして数冊の文献ではリフルシャフルの記載だけでした。 後半のウォーターフォールの技法名もいろいろです。「ウォーターフォール・フィニッシュ」、「ウォーターフォール・シャフル」、「ウォーターフォール・フラリッシュ」、または、「カスケード」と書かれています。ところで、分けた用語になっていないように思えるのがル・ポールのフォールスシャフルの解説です。「フォールス・ウォーターフォール・シャフル」となっています。しかし、これは、後半のフォールスのウォーターフォールの技法を解説するために、前半のリフルシャフルもいっしょに解説していると言ってもよいのかもしれません。 テーブル上で行うリフルシャフルはリフルシャフルだけの記載がほとんどです。しかし、1946年のArthur H. Buckley著「カードコントロール」の本ではテーブル・リフルシャフルとなっていました。この名前はこの本が最初かもしれません。その後、この名前やテーブルド・リフルシャフルの名前もよく登場するようになります。

日本でのリフルシャフルは状況が大きく変わります。両エンドをリフルしてシャフルした後、ウォーターフォールに続ける方法が昔から行われています。両エンドをリフルしますが、空中には持ち上げずにテーブル上でシャフルして、その後、持ち上げてウォーターフォールに続けています。1938年の阿部徳蔵著「とらんぷ」にはその方法が解説されており、この切り方は普通われわれがやっている切り方と書かれていました。このシャフルの名前は特に記載されていません。なお、この方法がいつ頃から日本に伝わっていたのか、今回は分かりませんでした。

日本でリフルシャフルの名前が最初に登場するのが、1956年の高木重朗著「トランプの不思議」と思われます。リフルシャフルの名前だけですが、後半のウォーターフォールの部分も含めて解説されています。興味深い点が、1938年の「とらんぷ」の本の方法がそのまま受け継がれていたことです。1960年代までリフルシャフルといえばこの方法が解説されていたようです。

日本の場合、アメリカ方式のテーブル上で行うリフルシャフルが、いつ頃から広まったのかはハッキリしません。しかし、1970年代になってポーカーサイズを使うようになって広まった可能性があります。1972年の加藤英夫著「ラリー・ジェニングスのカードマジック」の影響が大きいかもしれません。その中では、リフルシャフルとしてテーブル上での方法だけが解説されていました。

全体を保つフォールス・リフルシャフル

マジックの世界ではザローシャフルが有名ですが、これが文献上に登場するのは1957年で比較的新しい技法です。それ以前では、プッシュスルーとストリップアウトの技法が知られていました。特にプッシュスルーの歴史は古く、1865年や1894年の本に既に登場しています。1865年の本の時代には、まだ、リフルシャフルが使われていませんが、フェロウシャフルのような方法の中で、プッシュスルーさせることを記載していました。

1902年のアードネスの本にもプッシュスルーとストリップアウトのことが簡単に紹介されています。特にプッシュスルーに関する記載の部分は、日本語訳の本では分かりにくく、この部分だけは原文で読まれることをお薦めします。ブラインド・リフルシャフルの解説の最後の部分で、つまり、ブラインドカットの直ぐ前の部分です。ストリップアウトに関しては、このアードネスの本の記載が最初と思われます。しかも、すばらしい方法が書かれていました。シャフルした二つのパケットの一つを少し斜めにしてそろえ、それから、引き出すとあります。1902年に既にこのことが記載されていたことが驚きです。残念ながら、このことの詳しい解説は、1940年の「エキスパート・カード・テクニック」までありませんでした。そこには、チャーリー・ミラーの方法が報告されていました。それまでに、Farelliの本や「グレーターマジック」にも、同様な考えのシャフルが解説されています。しかし、いずれも、全てを押し込まず、エンドに突き出したまま少し残して、それを手でカバーして、その後、抜き出しているだけでした。

ところで、問題はこの二つの技法名です。ストリップアウトに対してプルアウト、プッシュスルーに対してプルスルーの別の名前があり混乱しそうになります。プルアウトやプルスルーの名前は、1960年のイギリスのルイス・ギャンソン著「ダイ・バーノン・モア・イナーシークレット」の本が最初です。バーノンがそのような名前を使っていたのか、または、著者のギャンソンが勝手に付けた名前なのかが分かりません。これらの名前も時々使われていますが、多くの文献ではストリップアウトとプッシュスルーの方がより多く使われています。プッシュスルー(プルスルー)は、シャフル後に一方が他方のパケットの中を通り抜けて引き出させて、カットの操作を加えて元の配列に戻しています。それに対して、ストリップアウト(プルアウト)はそろえたように見せた後、元の方向に戻して引き出して、カットの操作を加えています。さらに、混乱することを加えますと、プッシュスルーの別名としてレイススルーの名前で呼ばれていた時期もあったことです。1933年のイギリスのFarelliの本に記載された後で数冊の本にも使われています。

これらのフォールスシャフルに対してザローシャフルは、シャフルしてそろえる操作の中で抜いて、二つのパケットを重ねてしまう方法です。トップカードでカバーしているために暴露しにくく、巧妙な技法となっています。ところで、トップカードのカバーなしで引き抜いて重ねてしまうダイレクトな方法が既に解説されていました。1902年のアードネス著「エキスパート・アット・ザ・カードテーブル」では、二つのパケットを逆V字型や逆ハの字型にしてリフルシャフルした後、そろえる操作で抜いて、一方を他方の上へ重ねています。1940年の「エキスパート・カード・テクニック」の本では、特別な角度をつけずに普通のリフルシャフルのように行って、手のカバーだけでダイレクトに行っています。 以上のようなテーブル上でのフォールス・リフルシャフルの方法が、空中で行う方法と面白いように関連性があることが分かります。本来はフラリッシュであったウォーターフォールが、フォールスシャフルのための重要な要素になっていることが面白いと思った調査になりました。


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