今回は音楽の町でもあるテネシー州ナッシュビルで、6月30日から7月4日まで開催されました。空港もホテルの中もカントリーミュージックであふれていました。昨年は I.B.M. と S.A.M. の合同大会のため2000人近くの大きな大会となりました。それに比べますと、今年の参加者は、昨年の半分より少ない状態ですが、本来の I.B.M. 大会に戻った感じがしました。しかも、私にとっては、欲しい資料がたくさん手に入り、充実した大会となりました。それでは、いつものように、最初にコンテストの結果報告から始めます。 |
■クロースアップ・コンテスト |
1位の Ryu Hyun Min
は、昨年のUGM大会でのクロースアップ・コンテストで1位を獲得しています。カードを中心に使っている点は同じですが、今回の内容は大幅に変わっています。立てた棒の上部に、手紙が入っていた小さな封筒が付けられます。サインされた客のカードやシールが貼られたスペードのAを使って、かなり不思議でビジュアルな現象が起こります。既成のカードマジックの概念とは違っているためか、方法の解明の手掛かりすらつかめませんでした。実演を見て、不思議さをあじわって頂くのが一番のようです。幸運にも、今年の8月に開催されますUGM大会のゲストとして出演が決まっています。私ももう一度見れるのが楽しみです。彼の演技で問題点を挙げるとすれば、最初に手紙を読み上げる場面があるのですが、少し長く感じたことぐらいでした。
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1位のRichard Forget
は、アメリカでも活躍中のカナダ出身プロ・マジシャンです。全体の構成と安定した内容で魅了していました。新聞を開いた記事の内容から、様々な出来事が起こります。サッカーの記事のページからサッカーボールが落下します。傷害事件の記事では、大きなナイフが取り出され、演者の指が切り落とされます。もちろん、その後で指を復元させています。また、別の記事により、バラの花が取り出され、花とシルクとボールが組み合わされた演技がなされます。恐ろしいのは戦争の記事です。新聞を広げている内側から、激戦の紛争状況が表現されます。その後、1枚の新聞紙からハトが作られ、羽を羽ばたかせ、クライマックスにつなげています。ロベール・ウーダンのオートマタ(自動装置)を思い出す演出で終わります。ナイフで指を切り落とすシーンには問題を感じましたが、最後の平和を表現する演出は気に入りました。
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今回のメインゲストは、最終日に演じられました島田晴夫氏です。ハトとカードの演技とドラゴン・イリュージョンを演じられました。昔と変わらずすばらしい演技に、もちろん、スタンディング・オベーションとなり、惜しまない拍手がおくられました。別の日のスターショーには、山本勇次氏がゲスト出演され、シルクの演技に観客を魅了していました。次々と繰り返される不思議さの強いシルクの分裂や、後半のテンポアップした曲にもピッタリと一致されたシルク・プロダクションは圧巻でした。さらに、この日の最後を飾った韓国のアン・ハリムによるカード・マニピュレーションは、何度見ても圧倒される内容で、勢いは衰えず、もちろん、スタンディング・オベーションとなりました。そして、この後、その日の出演者全員が舞台へ登場すると、スタンディング・オベーションで拍手が鳴り止みませんでした。 |
今年も韓国の勢いが印象的でした。ステージ・コンテストでは、1位や2位を獲得出来ませんでしたが、二人が決勝戦に進み、残り二人も印象的なマジックを演じられました。そして、クロースアップでは1位を獲得しています。日本も負けてはおられません。ステージとクロースアップに、それぞれ1名が出場され、決勝戦のファイナル6に残る結果となりました。今年は、FISM が中国で開催されますが、これをきっかけに、アジア全体が盛り上がってくれることを期待しています。 |