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コラム

第3回 2001年 IBM大会 クロースアップコンテスト
〜ファイナリスト6組の演技報告〜 (2001.9.24up)

2001年7月4日より4日間、アメリカ・フロリダのディズニーワールド内にあるヒルトンホテルにてIBM大会が開催されました。今回、クロースアップコンテストは午前8時より12時までの4時間かけて、22人のコンテスタントにより競われました。そのうち、ジュニアは7名です。上位6組(アダルト3、ジュニア3)が最終日にファイナリストとして、ゴールドカップをめざして再演されましたので、その内容と順位結果を報告します。

尚、今年度のゴールド・カップの該当者は、無しの結果でありました。

アダルト部門

Shawn Farquhar  カナダ  1位

アンビシャス・カードとカップ&ボールを演じました。
ポケットより新品のデックを取り出し、封を破り、ケースの中のデックが順番にそろっていることを客に確認してもらいます。客にサインしてもらったカードにより、アンビシャス・カードの現象が次々に演じられました。

特に喝采をうけたのは、顔を下向け、口で息を吸い込む動作により、弾きあげられたデックのトップカードが口に吸い付く演技です。Genii9月号には、口に吸い付いた時の写真が掲載されています。この客のサインカードが最後には消失します。

演者のポケットより新品のデックを取り出し、封を破って、ケースからデックを取り出します。 このときの動作もセリフも、また客に行ってもらうこともまったく最初と同様に繰り返し、このデックの中よりサインされたカードが客により取り出されます。

カップ&ボールは少し小さめの3つのカップと、それ専用に作られた小型のシンプルなテーブルを使って行われました。クライマックスでは、大きいボールがカップの下から繰り返し取り出されます。そして、両サイドのカップの口を見ると、口の無いかたまりのカップで、客に渡して調べさせます。テーブルに残った中央のカップの下より、少し小さめのカップと、さらにもう少し小さいカップが取り出され終わります。

最初から最後まで、テンポよく行われ、技術的なうまさ、コミカルなタッチ、一工夫した現象、そして、最後までうけっぱなしで、1位はまず間違いなしと思いました。ゴールデン・カップも取れるのではと思いましたが、そちらの方は残念ながら逃しました。私にとっては満足させてもらった演技でありましたが、ゴールデン・カップを獲得することの難しさを感じさせられました。 尚、彼は1998年のIBM大会ステージ部門での1位を獲得しています。

Igor  ニューヨーク  2位

小さな容器に入った液体「ドクター・エックス」を品物にかけると消すことが出来ます。コインにふりかけると消失し、さらにコインを出現させ、ジャンボコインに変化させた後、消失させます。カードの表に薬をつけると、ブランクカードになります。ライターが消えたり、客の指輪も消えてしまいます。卵がなぜか出現し、それも薬により消えます。小さな小銭入れより60センチ程の長い筆が出てきますが、それにより後半では薬を塗る操作を交えて行っていました。最後には、ビニール袋に入った薬品の詰め合わせ(または、今までに消失した品物が入っていたのか?)より取り出した品物の中から、消失したはずの客の指輪が現れて終ります。

この人も1位の人同様に、次から次とテンポよく現象を行っていました。演出も工夫しており、テクニックもセリフもつまることなく、うまいと思ってしまいました。しかし、観客へのうけぐあいは、1位の人に比べると弱かったようです。

Canki and Eddie Maxwell  アルゼンチン

二人が登場。一人はスペイン語を話すマジシャンで、もう一人は通訳です。最初のマジックはカメレオンシルク。通訳にもシルクを持たせて同様に行わせますが、勿論、マジシャンのシルクは色が変わり、通訳のシルクは変わりません。ところが、通訳のシルクをもう一度こぶしに入れさせて、マジシャンが半分引き出すと、半分だけ色が変わったシルクとなっています。次に白紙を示して、それを一瞬にして紙幣に変化させます。結構うけていました。通訳にも同様のことをさせますが、紙幣にはなりません。ところがそのすぐ後、この白紙が多数のペニーに変化し、テーブル上へぶちまけられるので観客にはバカうけします。

通訳の方がうけたので、マジシャンが通訳に対して怒りだします。最後の現象として、デックの中へ入れた客のサインさせたカードが、通訳のポケットから本人により取り出されます。それをポケットへと戻すと、今度はマジシャンのポケットより出てきます。そしてこの頃にはマジシャンがペラペラの英語を話し、通訳がスペイン語を話し出しています。演技力を必要とするコメディー・タッチのマジックであり、結構楽しませてもらえました。2つ目の現象がうけていただけに、最後のマジックは少し物足りない感じがしたのが残念です。惜しくも2位は逃しました。

ジュニア部門

Winston Helling  ニューオリンズ  1位

BGMにあわせて、4Aを1枚ずつテクニカルな方法によりデックから取り出したいました。そして、この4Aのそれぞれの下より1枚ずつコインが出現します。4枚のコインをタテ1列に並べ、左手で全体をカバーするたびに、横にふせておいた右手の下へ1枚ずつ移動します。その後、テーブルの上のコインが順次増えて15枚程度となり、最後に両手いっぱいにコインがあふれ出て、テーブル上がコインでいっぱいになって終ります。

服装はハト出しをしそうな燕尾服とシルクハットをかぶり、ポーズを決めつつ行っていました。彼がもっと年齢がたかければキザにしか見えなかったでしょうが、10代中頃とも思える若さが嫌味をなくし、かっこよくきめていたのがかわいく見えてきました。何人かの有名人の作品をつなぎ合わせたような手順でしたが、よくまとまっており、技術的なうまさがジュニアの中ではピカイチでした。失敗しそうな感じすらさせずに、しかも、スマートにエレガントに演じていた点が良かったといえます。

Chase Curtis  テキサス  2位

懐中電灯より単三電池3本を取り出しマジックが行われますが、最後に大きい電池(単一)に変化し、さらに消失します。その電池が空のはずの懐中電灯より現れます。次はカードマジックで、赤と青のデックを使い、客のカードが他のデックへ飛行する現象ですが、その時カードケースが消失してデックだけとなり、その中より取り出されます。最後の演目として、電池を使ったカップ&ボールが行われました。クライマックスは各カップよりカップいっぱいの大きさの特別な電池が現れるだけでなく、マットをめくると、火花と共に自動車用のバッテリーが出現します。

コンテスト用の安易な発想といえばお叱りを受けそうですが、ジュニアだということを考えれば、ここまで考えて実現させたということは賞賛に値する内容と言ったほうがよいかもしれません。

Matthew Grunwald  カンザス・シティ

鉛筆・消しゴム・クリップ・パンチ・絵の具といった文房具を使ったマジックで統一され、その物品を使ってうまく工夫した現象が行われていました。例えば、鉛筆でウォンドがわりにまじないをかけると消しゴムが消失し、鉛筆が消しゴム付き鉛筆に変わり、この鉛筆のキャップが消失した後再現し、鉛筆が短くなります。アイデアはそれぞれ面白く、次々と演じられていったのですが、小さな現象が続き、マジック全体の印象も弱いままで終わってしまったのが残念です。おしくも2位は逃しました。

今回のクロースアップコンテスト全体を通しての印象

2年前のIBM大会に参加したとき、クロースアップ・コンテストでは多くの人がカップ&ボールを行っていました。しかし、すべて個性のある異なったタイプだったのも印象的でした。ところが、今回は2人だけしか行っていませんでした。そして、この2人共入賞しています。カップ&ボールは同じタイプのものが重なると見ている方は疲れます。しかし、ないのも寂しいものです。今回の2人はラッキーだったのかもしれません。

IBM大会のクロースアップ・コンテストは何回か見てきましたが、今回の4時間は長く感じませんでした。バラエティーに富んだ出演者と内容、特にジュニアを含め若い層の出演者が多く、独自の個性を前面に押し出して頑張っていたからだと言えます。動作もセリフも堂々としていて押しの強さを感じました。そんな中で、中年層や車椅子の障害のある高齢者も出演しており、層の厚さを感じさせられました。


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