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コラム



第71回 本結びとたて結びとスリップノット(2015.8.13up)




はじめに

2004年に「本結びとたて結びとマジックのかかわり」で報告しましたが、今回はその続きとなります。ただし、たて結びとスリップノットに重点をおきました。前回でも問題にあげていたのがたて結びです。実生活では使わない方がよい結び方とされ、マジックでも本結びを使ったマジックばかりです。本結びが日常でも一般的で、マジックにも都合の良い点が多いようです。結局、たて結びを使ったマジックがほとんどありません。しかし、スライディーニのほどけるハンカチの結び目では、最初に演者が結ぶところではたて結びが使われています。何故たて結びなのでしょうか。今回は、たて結びがほどけやすくなるいくつかの理由をまとめました。また、たて結びをマジックに使用した場合の利点についても取り上げます。そして、この二つの結び方とマジックとの関わりが大きいスリップノットの歴史も調べましたので報告します。

たて結びがほどけやすい理由、以前のコラムの復習をかねて

本結びもたて結びもシングルノットを2回繰り返して完成しますのでダブルノットの一つとなります。本結びの場合は、1回目のシングルノットにより手前へ出てきた端を、2回目のシングルノット時にそのまま手前へ重ねて結んでいます。結局、一度は反対側へいった端が元へ戻ってきてロープ本体と並び、安定した状態で長い範囲を絡み合っています。結び目が四角形となるために、米国ではスクウェアノットと呼ばれています。しっかりと結ばれ、ほどきたい時にはスリップノットに変換して簡単にほどくことが出来ます。たて結びの場合は、1回目のシングルノットで手前に出てきた端を、2回目のシングルノットの時に、わざわざ向こう側から絡ませています。そのために、安定しようとして、両端がロープ本体と90度方向へ動いて十字状になり、結び目が丸くなります。横方向のロープ本体に対して、ロープの端が出てゆく方向が縦になるために、たて結びと呼ばれているものと思います。結び目を作っても、ずれたりほどけることも多く、ほどきたい時には、本結びのようなスリップノットへの変換が楽々と出来ません。どちらの端を持って引っ張ればよいのか分からなくなるからです。

このような結び方をするのは、本結びのことを知らず、2回目のシングルノットも1回目と同じ手の動きで結んでしまうからと考えられます。欧米のおばあさんがそのように結ぶことが多いためか、グラニーノット(おばあさん結び)と呼ばれています。日本では結びの文化が発達しており、仕事上の男性だけでなく、高齢の女性も結び方には詳しい傾向にあります。この英語をそのまま日本語にして、日本でも「おばあさん結び」と呼ぶのは失礼であり、日本的でありません。たて結びの場合は、ロープとロープが絡まる部分が本結びよりも短く、結び目がずれたり、場合によってはほどけてしまいます。すべりやすい素材のロープや紐を使った場合や、素材の違う2本のロープや太さの違うロープを結んだ場合にもほどけやすくなります。

たて結びがほどけやすい理由、パート2

今回、たて結びがほどけやすくなる重要な要素が、もう一つあることを見つけました。これが今回の中心となる点です。同じロープでたて結びをしても、その位置で結び目が固定される場合と、結び目がずれる場合があります。その原因がたて結びの結び方の違いにあることが分かりました。シングルノットする時に、2本のロープが同程度に絡み合っていることは少なく、一方が他の回りに巻きついていることの方が多いと言えます。結ぶ場合に、一端を固定して、他端をその回りに巻きつかせることがほとんどです。本結びもたて結びもシングルノットを2回繰り返すわけですが、2回とも同じロープが他方のロープの回りを巻きつかせていると、他方のロープは真っすぐなままです。真っすぐといっても、本結びではU字型に曲がり、たて結びではL字型に曲がっています。本結びであれば、U字型で長い範囲を絡み合っているので結び目がずれることがありません。しかし、L字型のたて結びは、ずれたりほどけてしまいます。結び目を締めるために両端を引くと、結び目がずれて、ロープの中央まで移動してしまうことがあります。1回目のシングルノットと2回目とで、違う側のロープ端を巻きつかせていた場合には、ずれることはほとんどありません。つまり、何も考えずに1回目と2回目を同じ手つきで巻きつかせていた方が、別のロープ端を巻きつかせることになり、ずれることが少なくなることが分かります。しかし、ロープの素材の関係や、ゆるんだ状態から一気に引っ張った場合にはずれることもあります。

たて結びとマジックのかかわり

上記のメカニズムは、たて結びを使ったマジックとしての応用ができます。ロープの場合では、上記のように中央までずれる現象がおきましたが、ハンカチの場合にはずれません。中央部分の方が次第に太くなっているからです。しかし、その反対に端の方が細くなっています。客に結び目をかなり強く締め付けられても、結び目より中央側の両側を持って左右に強く引くとほどけます。ただし、シルクや柔らかさがある素材のハンカチでは、結び目が強く締め付けられるために摩擦が強くなり、少しずれる程度で終わってしまいます。ほどくためには普通の木綿のハンカチが最適です。

本来、ダブルノットをほどくためには、スリップノットの状態に変換してから、一直線になった一端を引き抜いてほどきます。ほとんどのマジシャンやマニアであれば知られていることです。これはマジック以外でも、救急法で三角巾の結び方やほどき方として、本結びとスリップノットへの変換は指導されています。面白いことは、このたて結びであればスリップノットに変えなくても、そのままでほどけることです。L字状に曲がったスリップノット状態といえそうです。マニアがこの結び目の状態を目前で観察しても、ほどけるとは思わないでしょう。何もあやしい操作をせずに、この状態のままでほどくと、一般客以上にマニアの方が驚かれると思います。ただし、シルクのハンカチを使う場合はスリップノットへの変換が必要となります。

たて結びとスリップノットとスライディーニの方法

上記のたて結びであれば、そのままでもほどけるのですが、驚きの強いマジックとはいえません。この結び目の上へ、もう一回か2回客に結ばせた場合には、不可能性がより強いマジックとなります。そのためには、たて結びを作った段階で、スリップノットに変換しておく方がスムーズにほどきやすくなります。上記のたて結びでスリップノットに変換しますと、ほとんど目立った変化が起こりません。これは驚くべきことです。他の結び目の場合には、スリップノットに変換すると、結び目から出てくる端の一方がかなり長くなり、他方がかなり短くなります。特に短くなるのが問題です。スリップノットにすると、一直線にしない方の端が、形状を変えようとする結び目の方へ引き寄せられるからです。上記のたて結びの場合には、90度分だけ結び目を歪ませるだけですので、他端がほとんど短くなりません。

上記のことが、スライディーニが最初に自分で結ぶ場合に、たて結びを使うことの謎を解明する糸口になると思いました。また、19世紀の "Secret Out" の本では、ハンカチの結び目消失のマジックでたて結びが使われていましたので、このことも何か関係があるのではないかと思いました。しかし、スライディーニの手順の中で使われているたて結びの方法を再確認しますと、ビックリすることが分かりました。ストレートになっている方をスリップノットに変換するのではなく、巻き付けた方をスリップノットにしていました。以前は必死で全手順を練習して演じたこともありましたが、最近では全く練習していませんので忘れていたことでした。結局、今回私がまとめたことは、スライディーニの方法でたて結びを使用している解明にはならないことが分かりました。何故か、たて結びの利点を生かされておらず、スライディーニがたて結びを使う謎が、振り出しに戻った思いがします。スライディーニの方法では、1回目と2回目のシングルノットの間に少しの距離を持たせています。そして、ゆっくりと締め付ける操作の過程で、巻きつけた方をストレート状態に変換しています。少し距離をあけていることにより、本当に結んでいることを納得させつつ、スリップノットに変換し、両端も一定の長さを残すことが可能です。このスライディーニの発想には脱帽です。このマジックには、スライディーニが長い年数をかけて熟成させた考えが凝縮されています。1927年から通信講座として発行されていたターベル・システムのレッスン32には、本結びをしつつスリップノットにする「クイック・リリース・ダブルノット」が解説されています。これは1941年のターベルコース第1巻にも再録されています。スライディーニはこれを改良してたて結びを使っているようですが、やはり何かの理由があるものと思います。スライディーニのハンカチの結び目マジックのすばらしさには圧倒されることばかりです。

消える結び目の歴史

今回の調査で驚いたことは、最も古いマジックが解説された文献である1584年のレジナルド・スコット著 "The Discoverie of Witchcraft" に既に解説されていたことです。このことは1992年2月号のMAGIC誌にスティーブン・ミンチ氏も報告されていますが、それが日本語訳され1993年のザ・マジック誌16号に記載されています。ハンカチの対角線上の両端を固く結んで、ハンカチの一部分でカバーして結び目の消失を行っています。そして、1764年の日本のマジック書である放下筌にも解説されているのがすばらしいことです。こちらではハンカチではなくロープが使われ、着物をうまく利用して演じられていました。日本的な内容になっていますが、海外から伝わったものを日本的にアレンジされたものか、日本独自で考案されたものかは分かっていません。鎖国中であるのに、この頃は海外の知識も部分的に入ってきていました。欧米では、1850年代後半から1880年代のマジック書のほとんどに、ハンカチの結び目消失マジックが解説されるようになります。1857年のDick & Fitzgerald発行の"Magicianns Own Book"を筆頭に、1876年のホフマンの "Modern Magic"や1877年のSachsの "Sleight of Hand"にも解説されていました。少しずつ方法が変化しており、客に繰り返し結ばせる方法や、スライディーニの方法のように2枚のハンカチを結ばせる方法も出現しています。このことに関しては、最後の参考文献一覧にその方法の特徴点も記載しましたので参考にして下さい。

私の記憶に残るブラックストーン・ジュニアの結び目の消失

私は1970年代後半から90年代初めにかけて、ブラックストーン・ジュニアのショーをアメリカで数回にわたり観る機会がありました。次のイリュージョンショーとの間に、数名の子供を舞台へ上げて、ハンカチの結び目消失マジックを演じていました。1枚のハンカチの対角線上の両端を結ぶ方法です。最初は演者本人が結んで、ハンカチの他の部分でカバーして、ハンカチ越しに数人に結んだ部分を持たせています。演者がハンカチの一部分を持って、子供に手を離させると、結び目が消えていました。次に子供に結ばせ、同様の方法で結び目を消失させています。最後は、子供に結ばせた後、さらに、その上に1~2回結ばせて不可能性を強めて演じていました。何回目かに彼のショーを観た時に、私の記憶に残る奇妙な現象を起こしていました。本来ならば客に結ばせた後は、演者がもっと強く締め付ける操作をするのですが、その時は、その操作をせずに、結び目より中央側の両側を持って一気にほどいてしまいました。スリップノットにしていないのに、何故ほどけたのか不思議でしかたありませんでした。もちろんこの現象の後、簡単にはほどけないように何回も厳重に結ばせる演技に続けていました。その後、海外の文献を調べても、そのようなほどき方は解説されていませんでした。結局、上記で報告しました特別な状態のたて結びになっていたものと思います。ブラックストーン・ジュニアも経験的にそのようなメカニズムは知っていたものと思われます。本来の結び目の消失のさせ方を知っていた私にとっては、不思議で仕方のない光景でした。なお、彼は父である偉大なマジシャンのブラックストーンが1965年に死亡した後、1970年にプロデビューしました。父の演技を受け継いで、ダンシングハンカチーフや浮揚する電球、そして、子供達に手でカバーさせる鳥かごの消失が特に有名です。1934年生まれで1997年に死亡しています。

ハンカチの結び目消失の私の演技

上記のようにたて結びをしたハンカチを客にわたし、両端を強く引っ張らせて、結び目が強くしまっていることを確かめてもらいます。他の客にも同様に確認してもらいます。ハンカチを受け取り、結び目に触らなくても頭を使えばほどけると宣言します。頭を使うと言っても、頭の上を通過させるだけでほどけると言って、それを実演してほどいてみせます。この後、私のバーグノット(天海ノット)の演技に続けています。本来のバーグノットや天海ノットは、ハンカチの中央に結び目を作っても、そのまま両端を引っ張り続けると、結び目が小さくなって消えてしまう現象です。2008年の私のコラムにも、そのテーマで報告しています。それを私は、ハンカチの中央に大きな結び目を残したままにして、客にハンカチを渡して両端を強く引っ張らせます。別の客にも同様にさせて、結び目が強くしまった状態であることを確認させます。このハンカチを受け取り、先ほどのたて結びと同様の演出で、頭を使えばほどけると言って、両端を持ったままで頭の上を通過させてほどいています。

私が天海ノットを教わったのは、1970年代後半で、大阪のジョニー広瀬氏からです。本来の方法とは違い、サムパームを使う方法でした。このサムパームの方法は、最近になって滋賀県のシオミ氏より伺った話では、かなり昔に村上正洋師匠が大阪の堀ジョージ氏に伝授されていたものとのことです。その場面に立ち会われていたそうです。なお、ほどけなくなった場合の天海ノットをほどく考え方は、小川勝繁氏より教わり発展させたものです。小川氏は石田天海師よりマジックを受け継がれた松浦天海氏より指導を受けられていました。つまり、多くのマジシャンや研究家のおかげで完成することが出来たわけです。このバーグノットは、天海師の方法だけでなく、マーチン・ガードナーやダイ・バーノンの方法が知られています。さらに、その後の調査で、ザローやオランダのホー・ヤン・チェンや日本の安田明生氏の方法もあることが分かりました。

上記以外のたて結びのマジックへの使用

たて結びの大きな特徴が、結び目の部分が十字状になることです。このことは、ステージで演じる場合に、遠方の観客にも結ばれているのが見えやすい利点があります。ただし、例外もあります。3本ロープのマジックを演じることがありますが、最後の部分をパット・コンウェイの1本のロープにする方法に続けています。東京堂出版の高木重朗著「ロープマジック」に解説されている方法です。長いロープと中ロープはたて結びにするわけですが、長いロープと短いロープを結ぶ種の部分は、本結びにする必要があります。短いロープ自体が結び目となり、両端が長いロープに対して十字状になるからです。なお、結び目を作ると団子がくっついた形状になります。その解決策として、2回目のシングルノットは、二つのロープ端を長いロープの反対側へまわして結ぶようにしています。

私は一般に使用されているロープの2~3倍の太さのロープを使っています。そのために、最後の結び目を手に隠す部分の工夫が必要でした。しかし、たて結びであれば、手の中にうまく隠れてくれるので負担が少ないことが分かります。1本になったロープが人差し指と小指のサイドから垂れ下がるのですが、結び目のロープ端が指先側と手首側方向になります。このことにより、はみ出すこともなく、うまくパームが出来ます。たて結びのすばらしさが実感できる点です。 シェファロノットについては、以前の結び目のコラムでも報告しましたが、その後、たて結びを使ったシェファロノットをよく演じるようになりました。本来、シェファロノットは本結びが出来ないと失敗するパズル風のマジックです。それをたて結びのシェファロノットにして両端を引っ張ると、最後に大きな団子状の結び目を残すことが可能となりました。私の場合、太いロープを使っていますので、かなり太い結び目が出来ます。一端を客に持たせて強く引っ張らせても、結び目は固く結ばれたままです。ところが、ちょっとした操作だけでほどくことが可能となり、マジックに応用しています。実社会では本結びが基本であり、マジックの世界でも本結びが重要ですが、たて結びも利用価値が高く、研究すべき結び方であると思っています。

2015年 IBM大会不参加とFISM大会のことで

毎年、この時期にはIBM大会の報告をしていますが、今年は参加しませんでした。FISMが開催される年は、IBM大会の参加者が少ない傾向にあるからです。特に最近では、MAGIC誌やGENIIの大会も開催されるようになり、IBM大会の参加者が減少傾向にあります。昨年はIBMとSAMとの合同大会で規模が大きく、参加者が多いだけでなく、ゲストショーやコンテストやディーラーショップの数も特別でした。さらに、1ドルが昨年の6月では105円ほどであったのが、今年では120円になっていることも驚きです。来年はテキサス州で予定されており、円安が続いても参加する予定です。

FISMに私は参加していませんが、参加された深井洋正氏からの報告やその他から情報を得ることが出来ました。日本の出場者は入賞できませんでしたが、それぞれに奮闘されご苦労さまでした。コンテスト結果を知って印象的であったのが、ステージ部門のグランプリを獲得されたスペインのHector Manchaです。あり得ない現象で度肝を抜いたそうですが、その片鱗は2011年のIBM大会でも感じられました。その時はクロースアップコンテストに出場され、決勝戦には残りましたが2位にも入れませんでした。その時も不思議さでは断然トップであり、残念に思っていた人物でもありました。その時の彼の演技については、2011年のIBM大会報告のコラムに記載していますので参照して下さい。

おわりに

マジックには本結ぶだけでなく、たて結びも利用価値が高いことを報告しました。スライディーニがたて結びを使う理由については解明できませんでしたが、スライディーニのマジックのすごさとすばらしさを再認識させられました。歴史を調べて面白いと思ったのは、結び目のマジックが最も古いスコットの文献に登場していたことや、日本の文献にも古い時代に日本的な内容で発表されていたことです。そして、19世紀後半に欧米で次々と発表されて変化し、1910年のセブン・コーナーのマジック以降、6枚ハンカチの時代へと移行しています。ダブルノットを使った消える結び目の発展がないように思われましたが、1960年にスライディーニの芸術的ともいえる進化した方法が発表されます。スライディーニのマジックの奥深さは、これからも大いに研究すべきテーマだと思いました。


■スリップノット使用の消える結び目の参考文献

1584 Reginald Scot The Discoverie of Witchcraft
     ハンカチの両端を結び、ハンカチでカバーして客に持たせる
1764 平瀬輔世 放下筌
     タイトルが長く簡略化すると「まむすびした縄のほどける術」
1857 Dick & Fitzgerald発行 Magicianns Own Book
     The Knot Loosened
     一端を真っすぐにしたまま、他端を巻き付けてスリップノット状態に
1859 Dick & Fitzgerald発行 The Secret Out
     To Untie a Double Knot without Touching it
     演者がたて結びをする たて結びのイラストを記載
     ハンカチの一部でカバーし結び目を客に持たせる
1865 Colonel Stodare A New Handy-Book of Magic
     The Gordian Knot 客に借りた2枚のハンカチの中央部分で結ぶ
     上記により端を多く残し、客に何度も結ばせる
1871 Cremer The Secret Out
     To Untie a Double Knot without Touching it
     1859年の本と基本的に内容は同じ たて結びのイラスト
     グラニーノットの用語が記載
1876 Hoffman Modern Magic
     The Vanishing Knots
     客にハンカチの両端を結ばせ、さらに、数回結ばせる
1877 Sachs Sleight of Hand
     The Knots 2枚のハンカチを客から借りて客に結ばせる
     客のハンカチを使うのでスリップノットの変換が楽にできる
     色や素材の違いがあるので引っ張る部分が分かりやすい
1886 Henri Garenne The Art of Modern Conjuring
     The Knotted Handkerchiefs 2枚のハンカチを使用
     帽子へ入れて結び目の消失
1887 Hoffman英訳 Drawing-Room Conjuring
     The Knotted Pocket-Handkerchiefs
     4枚ほどのハンカチを全て繋ぎ、スリップノットに変換
     繋がったハンカチをロール状に丸めながら外している
1910 Hatton & Plate Magicians' Tricks How They are Done
     The Handkerchief with Seven Corners
     2端を結んでハンカチでカバーし客に持たせる
     他の2端も結んで客の別の手でハンカチ越しに持たせる
     別の2端が現れ、結んでハンカチ越しに持たせるともう1端が現れる
1927 Harlan Tarbell Tarbell System Lesson 32
     Quick Release Double Knot 本結びしつつスリップノットにする
1941 Harlan Tarbell Tarbell Course in Magic Vol. 1
     上記の再録
1960 Lewis Ganson著 The Magic of Slydini
     Slydini's Knotted Silks たて結びしつつスリップノットにする
1979 Karl Fulves著 The Magical World of Slydini
     Slydini's Silk Knots
2011 菅野昭夫 スライディーニのシルク・マジック マジックハウス発行



(2015年10月の追記 Ozanamとシェファロの結び目)

今回の結び目のコラムは2015年8月にアップしましたが、2ヶ月後に間違っていた部分が判明しました。松山光伸氏によりご指摘を頂いた重要な内容ですので、追記として報告することにしました。シェファロの結び目の歴史とも大きく関わっています。

コラムでは「消える結び目の歴史」の項目で、1694年に発行されたフランスのOzanamの文献のことにも触れていました。この古いフランス語の文献の概要を紹介した英語の本が発行されており、ほどけるダブルノットが解説されていると報告していました。残念ながら内容の詳細が分かりませんが、この頃であればスリップノットのこと以外にはない思い、そのことをコラムで報告しました。しかし、このほどけるダブルノットとは、シェファロの結び目のことであるとのご指摘をいただきました。そして、Google Booksでフランス語の1723年度版のOzanamの本の内容を見ることが出来ることと、2011年にはThe Conjuring Arts Research Centerから発行されているGibeciere誌に1694年の初版が英訳されているとのお話も伺いました。

Ozanamの本の中でそのことを解説しているイラストは、シェファロの結び目でよく使われているロープのイラストと同じと言ってもよい状態でした。ダブルノットの特別な状態で、8の字のように見えるイラストです。マジシャンのシェファロは1885年生まれであり、シェファロの結び目は彼が考案したように思われています。しかし、実際には、彼が生まれるよりも190年も前にはフランスで存在していました。これは大きな驚きです。なお、上記のような間違いがありましたので、今回の結び目のコラムからは、Ozanamについて書かれた部分を抹消することにしました。


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