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コラム



第62回 シャフルとシャッフルについて(2013.9.20up)




はじめに

shuffleを日本語ではシャッフルと書きます。しかし、カードマジックでは英語の発音に近いシャフルが使われてきました。それは現在でも同様です。もちろん、シャッフルも少数派ですが使われてきました。ところが、最近ではシャッフルの使用が徐々に増えてきているだけでなく、最近のネットでの状況をみて驚きました。大幅な変化が起こっていたからです。そこで、シャフルとシャッフルの用語の最近の状況と、これまでの歴史経過を調べましたので報告することにしました。この調査により、いろいろと面白いことが分かりました。

シャフルやシャッフルが使われ始めた頃

1955年頃までは、シャフルやシャッフルもまだ登場していません。カードをまぜる、切る、切りまぜると書かれていただけです。カードマジックでシャフルの用語が最初に使われたのは、1956年発行の高木重朗著「トランプの不思議」だと思います。この本は東京堂出版より2011年12月に復刻版が発行され、松田道弘氏が解説を書き加えられていることで話題となりましたので、ご存知の方も多いと思います。シャフルは英語の発音に近く、外国のマニア相手においても実践的に使える点で使用されることになったのだと思います。つまり、英和辞典の発音記号を参考にして採用されたものと思われます。カタカナで発音を書いている英和辞典でもシャフルとなっています。高木重朗氏や松田道弘氏をはじめ、カードマジック関連の本のほとんどの著者が、その後もシャフルを使っています。このシャフルに対してシャッフルが最初に使われたのは、1958年発行の平岩白風・森正観著「新トランプ奇術」だと思います。この本の多くの部分は切るが使われていますが、部分的にシャッフルの用語が登場します。その後、マジックの本でのシャッフルの使用は少数派となります。ところが、カードゲームのほとんどの本にシャッフルが使われるようになります。現在の国語辞典やカタカナ辞典ではシャッフルだけの記載しかありませんが、これが何年頃より掲載されるようになったのかは分かりません。なお、国語辞典の場合は、収録語数の多い大型タイプのみの掲載となっています。

シャフルボードとシャッフルボード

カードをまぜることから話が外れますが、昔からある競技(ゲーム)にShuffle Boardがあります。円盤を棒で突いて得点を競うゲームです。日本語として辞典にはシャッフルボードと書かれています。イギリス発祥で、20世紀のアメリカで人気となり1931年に協会が設立し、1979年に日本でも協会が設立しています。日本での協会名が日本シャフルボード協会です。シャッフルボードを行うシャフルボード協会では不自然です。ネットで検索しますと、この二つの用語が半分ずつ出てきて奇妙な状態です。新しく制作されたカタカナ用語辞典を見ますと、シャッフルボードだけでなくシャフルボードも記載されていました。今までにはなかったことです。しかし、残念ながら、まだ、シャフルの用語は登場しません。マジック業界だけが国語辞典やカタカナ辞典に対抗して、英語の発音に近いシャフルで記載している状況です。辞典の内容は、よほどのことがない限り変更されそうにありません。切るやまぜるが一般的で、シャフルやシャッフルは特別な専門用語である上に、カードゲームではシャッフルが使われてきたからと思われます。

クロースアップとクローズアップの場合

このことに関しては以前のコラムでも報告しました。繰り返しになりますが、英語のclose-upはクロースアップに近い発音ですが、日本語としてはクローズアップと書かれています。マジック界では1970年代頃よりクロースアップ・マジックと書かれるようになり、現在ではそれが定着しています。ところが、現在でも国語辞典やカタカナ辞典ではクローズアップの記載しかありません。一般書籍での記載もクローズアップだけです。ただし、興味深いことは、辞典での説明には「正しくはクロースアップ」と記載されているものが数冊あったことです。

英語のカタカナ書きに小さな「ッ」が入る理由

シャフルとシャッフルの違いは、小さな「ッ」が入るか入らないかです。日本ではMagicはマジックに、Catはキャットとカタカナ書きします。日本語は英語と異なり、語尾をハッキリと発音し、小さな「ッ」(促音と呼ばれています)や長音の「ー」を入れて書くことが多くなります。英語には促音や長音がないと言われています。昔の学者が外来語に「ッ」を入れる場合と入れない場合を研究されたのでしょうが、複雑でいろいろ問題があるそうです。Kissの場合は発音はキスですが、日本語としてのカタカナ書きはキスもあればキッスもあり、この二つとも国語辞典に書かれています。不思議なのがシャフルの場合です。発音がシャフルに近く、シャフルを日本語として採用すればよいのに、日本語の辞典では何故かシャッフルの記載だけしかないからです。

フェロウ・シャフルのカタカナ書きと私の迷い

1993年の私の作品集「スーパーセルフワーキング」を作成中に迷ったことは、faro shuffle をどのようなカタカナ書きにするかでした。結局はフェロウ・シャフルと書くことにしました。迷ったのはフェロウだけで、シャフルのほうではありません。shuffle はシャフルしかないと思っていたからです。faro はカードマジックの本の著者により、フェロウ、フェロー、ファロ、ファロー、ファーロー、フェイロなどと書かれていました。英和辞典での発音では、1冊の本に2種類書かれていたり、別の辞典では少し違った発音で書かれているものもありました。日本語にはない単語で、自分の判断で決めるしかありませんでした。この本の発行後、たまたま目を通していた本にシャッフルと書かれていることが気になりました。これまでにもシャッフルと書かれているのを見ていたはずですが、フェロウと同様でそのようにカタカナ書きする人もいると思ったぐらいで気にかけていませんでした。しかし、今回は今後のことも考えて、これまでに発行されたマジックの本を調べ直しました。当時の結果では、圧倒的にシャフルでよいことが分かりました。ところが、その後、マジックの本でもシャッフルを使われる著者が徐々に増えていたことと、最近ではネットの中の状況を見て驚くことになったわけです。

最近のネットでの状況

2000年以前では、シャフルやシャッフルの用語自体が一般の人にはなじみの少ない特別な存在でした。ところが、2000年代に入って、別の部門で若者にはメジャーな存在となります。2005年発売の iPod shuffle の存在が大きいと思います。また、2004年に恋愛アドベンチャーPCゲームで Shuffle が発売され、2005年には角川書店より本が発行されたり、Wowowでアニメも登場しています。さらに、ダンス分野で Shuffle Dance というものも出てきているようです。これらがネット上に多数登場し、そのカタカナ書きとしてシャッフルの用語ばかりが目につくようになります。つまり、シャッフルの用語がメジャー化してきたようです。しかし、iPod shuffle に関しては、スラングとして本来の発音に近い「シャホー」と呼んでいる人のことも紹介されていました。

最近のマジックマニアは、本よりもDVDやネットでの影響が主流になっていそうです。ネット上ではシャフルの用語がほとんど登場しなくなってきました。リフルシャフルで検索してもリフルシャッフルと書かれている検索結果ばかりが登場します。少しマニアックなフェロウシャフルの場合は、シャフルも一定度登場します。結局、ネットの世界ではシャフルで書き込んでいる人が極端に少ないことがよく分かりました。

どちらを使うべきか

私はどちらを使うかは、著者や書き手の判断で決めればよいと思っています。私の場合はシャフルのほうが馴れていることと、多くのカードマジックの先輩たちがシャフルを使ってきた歴史があります。カードゲームや日本の辞典の記載がシャッフルになっていても、英語の発音に近いシャフルを使ってきました。そして、こちらのほうが実用的だと思っています。カードマジック以外の分野はシャッフルでもよいのですが、カードマジックでは、もっとシャフルを使ってもよいのではないかと思っています。カードマジックの本の世界では、現在でも、まだまだ、シャフルがよく使われています。ネットの検索結果は、用語の勢力争いの場の印象があります。よく書き込まれて、よく読まれる用語の勢力が拡大し、検索結果に反映されます。そのことを考えた時、まずは私もコラムでシャフルの用語を使ったテーマで報告したくなりました。最近調査していた空中でのリフルシャフルとウォーターフォール・シャフル、そして、そのフォールスシャフルについて、次回には報告しようと思っています。


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