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コラム

第22回 日本のマジックに適したカードについて (2005.10.28up)




最近、日本で製造されています紙製のポーカーサイズのレギュラー・デックが、かなり良くなってきています。関西と関東の二つのメーカーが、マジックに適したカードとして販売されています。これらのカードが、アメリカ製のバイスクルに比べ、どのような点が優れており、反対に、どこが弱いのかを、私の個人的な意見として報告させて頂きます。なお、「マジックに適したカード」については、2001年の最初の私のコラムに少し触れていますので、そちらも参考にして頂ければと思います。

対象となります二つのメーカーの名前は書かないことにしましたが、関西と関東のメーカーとだけ記載することにします。最初に結論を言いますと、基本的要素と言ってもよい、すべり、弾力性、印刷に関しては、世界的にも、かなり誇れる状態になっているといえます。それに対して、特別な要素のフェロウ・シャフルや片手でのシャフルのしやすさの問題。そして、個人的好みにかかわる、絵札の顔や、ジョーカーの絵の問題。さらに、紙製のカード・ケースの問題等には、良い点がある中で、少し辛口の意見も加えさせて頂きました。

適度のすべりやすさの問題

これは、ファンやリボン・スプレッドのしやすさの問題といえます。日本の二つのメーカーのカードのすべりは、どちらも最適です。ただし、まだどちらも使い込んでいませんので、もっと使って月日が経つと、すべりがどのように変化するのかが気になるところです。

アメリカ製のカードは、1980年代後半より、すべりすぎるようになってしまいました。すべる方が良いのですが、すべりすぎるのも困りものです。デリケートなマジックをする場合に、扱いにくくなります。以前は、すべる状態が不十分で、スムーズなファンやリボン・スプレッドは、誰でもが容易に出来ませんでした。その点がすべるようになって改善しましたが、すべりすぎにも限度があります。

弾力性や硬さの問題

これは、スプリングやリフルのしやすさの問題といえます。日本製のカードも、かなり良くなっています。適度の弾力性をもつようになってきました。ただし、バイスクルを基準にしますと、今回取り上げました二つのデックは、どちらも少し硬く感じられます。しかし、これぐらいの硬さの方が、耐久性があるのではないかと思われます。また、この方が高級感を感じられます。柔らかいカードでは、安っぽく思われる可能性があります。

U.S.プレイング社製のカードでも、カードにより値段が違っています。弾力性がしっかりしていて、やや硬めのBeeがもっとも高くなっています。次にバイスクルで、少し柔らかく感じられるタリホーは、バイスクルと同価格か、日本では安く販売されていることもあります。同様に少し柔らかいスチーム・ボートの価格は、かなり安くなっています。残念なことは、日本のカードが少し硬いといっても、Beeの硬さとは違っていることです。Beeの紙質は別格なためか、腰の強い特別な弾力性をもっているからです。

ところで、カードの硬さの好みには、個人差があります。私は少し柔らかい方が好きです。その方が、私には扱いやすく、長時間使用していても疲れにくいからです。私は、ポーカー・サイズを使い始めた時から約15年間、タリホーのカードばかり使っていました。バックの模様のサークルが、すっきりしていて好きなことと、少し柔らかめの弾力性が私にはあっていたからです。このタリホーの使用をあきらめざるをえなくなったのは、バックの縁の白い幅の差が目立つデックが多くなってきたからです。

なお、関西のメーカーは、今回のカード以前にも、同様な特殊表面加工をしたカードを特別な記念カードとして製造されていました。その時は、今回よりも柔らかく、私の気に入った硬さであったのに、今回のは硬くされていたのが残念です。やはり、耐久性や高級感の理由でしょうか。あるいは、日本の気候風土を考えて、そり曲がりの生じにくいカードとするためだったのでしょうか。

バックの白い縁の上下左右差の有無

日本のカードは、印刷が優れているだけでなく、バックの縁の白い幅の上下や左右に差がない点も優れています。白い縁の問題は、日本の全てのカードやヨーロッパのカードでもそろっています。差がある場合でも、わずかです。

別な言い方をしますと、アメリカのカードが悪すぎます。1980年代後半より、特に悪くなってきました。割合そろっているカードやかなり差のあるカードがあり、一定していません。以前、悪いカードは「セコンド」として安く販売されていましたが、今日では、そのようなことはしていないのでしょうか。また、アメリカでは、カードを消耗品として考え、少々の印刷のずれは気にしていないのでしょうか。最近では、このずれが少しましになっているような気もしていますが、全体的には、よく分かりません。

フェロウ・シャフルのしやすさ

これに関しては、日本の二つのメーカーのカードは、わずかですがアメリカに負けています。アメリカのカードは、気持ちよいぐらいにスムーズに1枚ずつかみ合わさってゆきます。もちろん、日本のカードも、実際にフェロウ・シャフル行ううえでは割合スムーズで、何の支障もありません。

フェロウ・シャフルには、かみ合せる時のデックの向きの問題があります。アメリカのほとんどのカードは、裏向きでボトム側からかみ合せる方がスムーズに行えます。表向きにしても、少しはひっかかる感じはしますが、それなりにかみ合わさってゆきます。日本製の場合、これが逆転しており、アメリカ製でも時々逆転しているデックがあることは、2001年のコラムで報告したとおりです。つまり、表向きではスムーズで、裏向きでボトム側からのフェロウ・シャフルは、かなりひっかかりが強く、シャフルが困難な場合もあります。

ところで、嬉しかったのは、今回販売された関西のメーカーのデックです。裏向きの方がスムーズに行えるようになっていました。関東のメーカーのデックは逆転したままです。ただし、このデックの向きの問題は、以前のフェロウ・シャフルのコラムでも報告しましたが、裏向きでボトム側からかみ合せる方式が全てではないことが分かりました。裏向きでトップ側からかみ合せる方法で説明している本があるだけでなく、その方法で行っている人もおられることが分かったからです。つまり、その場合には、逆転している方が都合がよいわけです。

片手でのフェロウ・シャフルが可能かどうか

これはデックを片手で二分割して、一方は親指と人差し指ではさみ、他方は人差し指と残りの三指にはさんで持って、二つをかみ合せてゆくフラリッシュ的シャフルです。私もよく使い、なれているつもりのテクニックです。

アメリカのデックのほとんどが、このシャフルが可能でした。もちろん、両手で行うフェロウ・シャフルに比べて、スムーズさが低下するものが多くなります。日本の場合、これまでのデックでは、ほとんどが出来ないと言ってもよい状態でした。もちろん、裏向きでも表向きでも困難でした。ところが、関西の新しいデックは、可能な状態に改善されていました。ただし、スムーズさに関しては、まだまだ問題がありますが、実践での使用には支障がない状態といえます。

関東のデックも、うまく行えばなんとかシャフルは可能でしたが、ひっかかることが多く、実践での使用はきびしいといった状態です。つまり、以前の日本のデックに比べて、かなり良くなっていますが、アメリカ製に比べるとこの点では負けています。この違いが何故なのかは、はっきり分かりませんが、一つにはエッジの形状の違いが関係しているのではないかと考えています。

絵札の顔の問題

U.S.プレイング社の各銘柄のカードの顔は、基本的には統一されています。この顔に見なれているためか、日本の二つのメーカーの顔は異質に感じてしまいます。関東のメーカーの絵札は全てほっそりした顔になっています。関西のメーカーは、少し丸みのある顔であり、日本のアニメ的ムードがあります。一般の日本人には、この二つのメーカーの顔も好まれるのかもしれません。しかし、私の個人的な好みは、アメリカのカードの顔を少し変えたぐらいの方が違和感もなく好感がもてます。少し変えただけでは、著作権の問題が関係してくるのでしょうか。あるいは、メーカー独自の特徴のある顔にしようとされたのでしょうか。

紙製のカードケースの問題

カードの問題とは関係なさそうですが、ケースにデックを入れる時や出す時にイライラさせられるのはいやなものです。アメリカ製の紙ケースは、デックの出し入れがスムーズに出来るようになっています。そのまま日本でも採用してもらえるとありがたいのですが、関東のメーカーはアメリカ・タイプになっていました。

今までの日本の紙製ケースには、出し入れに問題がありました。底のフラップがケースの内側で上方へ突き出しているため、デックを入れると、1枚が少し突き出てしまうことがありました。この1枚を再度入れなおすことになります。出す時は、デックの上部に指があてにくく、ケースの中へ指を入れる必要があるために、取り出しにくくなっています。そのために、ケースをさかさまにしてデックを出すことが多くなります。この場合は、時々、フラップの根元に1枚がひっかかり、ケースの中に残ったままになっていることがあります。

関西のメーカーの最近のケースは、底のフラップの突き出しがなくなりましたので、スムーズに入れることが可能となりました。しかし、取り出しの問題は残っています。

ジョーカーの絵について

これは、マジックに活用しやすいジョーカーの絵であるのか。そして、同じ絵のジョーカーが何枚あるのかといった問題です。

関東のメーカーは、同じ絵で同じ色をつけたジョーカーが2枚入っています。関西のメーカーも、同じ絵が2枚ですが、一方は白黒で、他方には色がつけられています。絵の内容は、両方ともに悪くはありませんが、マジックに関連出来る絵とはいえません。残念なことは、関西のメーカーの以前のジョーカーを気に入っていたのですが、今回、大幅に変更されてしまったことです。このことについては、後で触れることにします。その前に、海外のカードで、私が気に入っていますジョーカーの絵について報告します。

ベルギーの「アトランティス」のカードには、ジョーカーが3枚入っています。そのうちの1枚のジョーカーは、ジョーカーがハートのキングの大きなカードをかかえている絵になっています。いろいろなマジックに応用出来そうです。

私が好きであったタリホーのジョーカーの場合は、若者がムチを持っています。イギリスのTalon誌に発表されたバズビーのホテル・ミステリーのマジックでは、このジョーカーがこのストーリーのクライマックスで重要な役割をはたしています。

バイスクルのジョーカーは、キングが自転車に乗っています。つまり、スポーツ好きなキング、または、健康管理しているキングといった設定のマジックに使 えます。そして、剣を持っているキングより平和主義のキングともいえます。

アメリカのマジック・キャッスルのカードのジョーカーも、バイスクルのジョーカーと同じです。そして、大きい方の絵のジョーカーが2枚入っていましたので、得をした感じがありました。本来のバイスクルは、大きい絵と小さい絵のジョーカーの2枚です。同じ大きさで同じ絵のカードが2枚ありますと、マジックに活用しやすくなります。残念ながら、キャッスルのカードも20年程前より、同じ大きさのジョーカー2枚ではなくなると同時に、カード自体にも、いろいろ問題が出てきました。最近のキャッスル・カードは手に入れていませんので、どのような状態となっているのかは分かりません。

ところで、関西のメーカーのカードについてですが、以前に販売されていましたカードの中には、ジョーカーが4枚も入っていました。このジョーカーは、マジックに活用出来そうな絵であり、白黒の絵のジョーカーが3枚と、この絵に色が付けられたジョーカーが1枚入っていました。同じ絵が2枚だけでもありがたいのに、3枚もあると活用範囲が広がります。このジョーカー4枚が、今回の新しいデックに使用されていないことが、残念でしかたありません。

余談となりますが、ちょっと考えただけでも、このジョーカー4枚に、1枚のクィーンを加えますと、簡単なパケット・マジックが出来ます。4枚のかわいい絵のジョーカーを示して、その内の1枚が化粧をして、大人の女性の仲間入りをしようとします。しかし、うまく化粧出来ずに、さえない色の絵のジョーカーになります。その後、みごとな女性(クィーンの絵札)に変身するといった現象です。常に4枚を示しながら行うマジックです。

おわりに

結局、日本のカードがかなり良くなってきており、アメリカやヨーロッパ製よりも優れている部分があることが分かりました。もっと改良が加えられて、マジシャンが使いやすくなり、デザイン的にもより優れたものが出てくれば、海外のマジシャンが欲しくなるデックになることも夢ではありません。期待しているところです。


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