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コラム

第11回 2003年IBM大会 クロースアップコンテスト
〜ファイナリスト6組の演技報告〜 (2003.10.13up)




はじめに

今年もIBM大会に参加してきました。アメリカの中央部に位置しますカンサス・シティーにおいて、7月1日より5日まで開催されました。これまでのように、クロースアップ・コンテストの決勝戦ともいえますファイナル6に残りました6名の演技内容と私の感想も含めて報告させていただきます。

なお、今年はクロースアップ・コンテストが行われる当日の朝に、ホテルで火災報知器が鳴る騒ぎが発生し、屋外へ全員が避難させられ、ヘリコプターや多数の消防車が出動するというさわぎになりました。結局、火災はなかったのですが、8時から開始予定のコンテストが少し遅れることとなりました。
ところで、今年はコンテストの出場者がいつもより少なく13名でした。このコンテスト選出された6名が、ファイナル6として翌日の決勝戦に出場されました。そして、その結果は、4年ぶりにゴールド・カップ受賞者が現れました。しかも、それはジュニア部門からの受賞者でした。

ジュニア部門

1位 Chase Curtis  テキサス ゴールド・カップ受賞

ステージでのハト出しを演じてもおかしくないような服装で、BGMにあわせて演技が行われました。
懐中電灯より3個の電池をテーブルへ出します。電池が1個ずつ消失し、3個目の消失と同時に懐中電灯が点灯し、この電灯より再度3個の電池が取り出されます。3個の電池から1個をポケットへ入れても、手には3個の電池がもどっています。
少しだけ左を向き、3個の電池を各指の間に1個ずつはさんで、正面に向きをもどしますと、すべての指の間に電池がはさまれています。つもり、4個になったわけです。この4個の電池をテーブル上に置いて「チンカ・チンク」が行われます。

懐中電灯をあと2つ追加して、3個をテーブル上に点灯部分が下になるように立てて並べます。それぞれの下より小ボールが出現します。懐中電灯の電池入れの円筒部を取りはずすと、残った部分はカップ・アンド・ボールのカップの形と同じになります。つまり、カップが3つ並んだ状態です。カップ・アンド・ボールの短い手順を行い、クライマックスとして、それぞれのカップの下より電池が出現します。さらに、中央のカップを持ち上げると同時に、カップに入りきれない程のジャンボの電池が出現します。

2つのサーチライトをテーブル上に並べ、一方にジャンボの電池を入れると電灯がつきます。隣りのサーチライトへ移動のジェスチャーを行うと、電灯の明かりが他方へ移動します。暗くなったサーチライトの電池入れ部からは電池が消失しており、他方のサーチライトより電池が取り出されます。このジャンボの電池に布をかぶせ、ゾンビ・ボール様の演技を行います。
最後には、この布をテーブル上にもってきて、取りさると、自動車用のバッテリーがテーブル上に出現しています。

4年間連続して出場されており、これまでの三回共、ジュニアの2位を受賞されていました。懐中電灯と電池を使用されている点では、4年共に共通していました。私は去年と2年前の演技を見ましたが、どちらも途中で関連性のないカードマジックが含まれていました。今回はそれを排除し、懐中電灯と電池の演技に、カップ・アンド・ボールをうまく結びつけてうえに、サーチライトの演技や電池のゾンビも加えてパワーアップしていました。全体的にマジックの内容も年々、工夫が感じられ、改善されてきていると思います。

ただし、問題点もいくつか目につきました。まず、服装が前回までの一般的なクロースアップ・マジシャン用の服装とは異なり、服装がパワーアップしすぎて、若返ったランス・バートンがクロースアップ会場へ登場してきて、ハト出しを演じるのかと思ってしまいました。燕尾服ではなかったかもしれませんが、ドレスアップした服装でした。カードやコイン、または、宝石のマジックをするのならよいのですが、懐中電灯と電池ではミスマッチに思えてしまいました。さらに、トピットを使用する部分が数カ所ありましたが、あまりにもダイレクトで見え見えの状態であり、一般の人には、それでも通用するのか疑問を感じてしまいました。

いくつか気になる点がありますが、演技全体がなれていることと、毎年、改善された内容でチャレンジされており、今年はさらにパワーアップしてうまくまとめあげていたこと等で、ジュニアとしての1位は納得出来ました。しかし、ゴールド・カップの受賞は少しあまいのではないかと疑問に感じてしまいました。

なお、去年までは、クライマックスの自動車用バッテリーが出現するところでは、激しい火花を発生させてから出現させていました。ところが、今年はそれがなかったのは、ゾンビで使用する大きな布を使うので不必要となったのか、または、火災報知器によるさわぎがあったので、使用する予定をやめたかは気になるところです。

2位 Kelvin Kwong  カナダ

左右の手にある茶色のジャンボコイン・サイズの円形物を合わせて、向きを変えると、茶色の蓋をしたコーヒーの紙コップとなり、蓋をあけて、透明な容器にコーヒーを注ぎ入れます。
客に選ばせたカードをデックにもどした後、2枚のKをデックの上へ表向きに置くと1枚ずつKが消失します。デックのスプレットにより、中央に表向きの2枚のKが現われ、その間に1枚の裏向きカードがはさまれています。この3枚を取り出してひっくり返すと、中央のカードが客のカードです。この3枚を振ると、一瞬で、客のカードと同色同様のカードにより、1枚のKがサンドイッチされた状態に変化してしまいます。 
小さなコーン・フレークの紙箱?(小さな牛乳の紙パックのようなもの)を3つ並べます。3つ共に空です。卵を割ると、中よりコーン・フレークのかけらと3つの紙箱でカップ・アンド・ボール様の演技が行われます。
最後には、空のはずの紙箱から多数のコーン・フレークが出て、他の紙箱からは牛乳が現われて、それぞれ透明の容器に入れて終ります。

コーン・フレークの演技のラストは、記憶違いで実際とは一部分違っていたかもしれません。しかし、いずれにしましても、コーン・フレークのかけらを使った演技は、カップ・アンド・ボールのボールに比べわかりにくく、現象的に弱さを感じてしまいました。ただ、この素材は演者のキャラクターにマッチしており好感がもてました。中国系のジュニアの方で、ほっそりした小柄の演者であったからです。しかし、堂々とした態度で話し、めりはりのきいた演技をされていたのが印象的です。
オープニングが意外な現象であり、また、カードマジックは、結構うまさが感じられました。

アダルト部門

1位 Patrick Przysiecki オハイオ

テーブルマットを筒状にまるめると、地球儀が出てきます。地球儀を回転させて、国名を言いつつ指を当てると、うまく当たっていたり当たらなかったりですが、最後に、中国と言って中国に指を当て、その後、1ドルサイズのチャイニーズコインを取り出します。次に、赤道の部分の赤い線が取れるようになっており、赤いひもになります。このひもと穴あきのチャイニーズコインにより、ひもから脱出するコイン等を行った後、このコインが消失します。地球儀を回転させますと、中国の部分に、このコインがはりつけられています。このチャイニーズ・コインをテーブル上に置いて、どんどん増加させ、たくさんのコインが並べられます。
この後、3シェルゲームが演じられましたが、そのラストでは、「この下にあると思うか」といった質問をした後、演者自身が「ノット」と答え、シェルを持ち上げるとボルトとナットのナットが出現します。その後、ミニの地球儀を取り出していたようにも思われます。
最初に取り出した地球儀を、テーブルマットの下へ置き、押さえると消失して、地球儀の平面なシールとなって終わります。

地球儀といった今までに使われなかった素材をマジックに使用している点が面白いのですが、さらに、全体的に関連性を持たせるとすばらしいものになったと思われます。
チャイニーズ・コインが増える部分は、最近見る機会が多くなりましたアルゼンチンのヘンリー・エバンスのマジックをそのまま借用されているように見えました。シェルゲームはラストのだじゃれ以外は一般的なことを行っているだけで、別のマジックの方が全体を盛り上げるのには良かったのではないかと考えてしまいました。最後の地球儀の消失とシールの出現は、どちらかといえば不思議さが少なく、ものたりなく感じてしまいました。けなしてばかりのように思われてしまいますが、最初の地球儀の出現や、赤道が赤いひもであう発想、そして、消失したチャイニーズ・コインが地球儀の中国の部分に飛行等が面白く、後半に期待を持たされただけに、後半がものたりない状態で終わってしまったのが残念です。

2位 Jon Born カンサス

BGMにあわせて演技が行われました。4枚の銅貨が1枚ずつ横の手の下へ移動し、その後、この4枚が銀貨に変わります。
次にデックからの4Aの一枚ずつの取り出しを行い、この4Aのしたには、それぞれコインが現れます。4枚のコインと4枚のカードでリバース・コイン・アセンブリーの現象が行われました。
6枚のカードに、1枚のアルファベットが書かれたカードを加えて、ワイルドカード現象のように行って、すべてのカードがアルファベットカードに変わります。書かれていますアルファベットはカードにより様々です。この7枚を並べ替えると”MAGIC OF”となります。そして、残りのデックをスプレットしますと、ブランクデックに変わっており、中央に”JON BORN”という演者の名前だけが読み取れる状態になっています。

4枚の銅貨が銀貨に変わる部分は、スピーディーでビジュアルでした。それぞれのマジックにおいてテクニックのうまさは感じられましたが、他の人に比べ、全体的に小さくまとまった演技のように見えてしまいました。
クライマックスのスプレットにより文字が現れる部分は、2年前のIBM大会にゲスト出演されたフランスのBoris Wild(1997年FISMカード部分2位)の演技を思い出してしまいました。Boris Wildの場合には、”I LOVE YOU”と一文字ずつ書かれたカードに変化させた後で、デックのスプレットにより、ブランクデックの中央に”ME TOO”という文字を現していました。

残りの2名の方は、おしくも1位、2位にはなれませんでしたが、
お二人の演技内容も詳しく報告したいと思います。

Alex Geiser  フロリダ

シルクが出現し、そのシルクより目覚まし時計が取り出されます。コインの出現と消失が繰り返された後、最後には、両手が全く空のように示されたにもかかわらず、コインが出現します。
ジャンボコインが取り出された後、ガマロのフレームを使って、ジャンボコインの消失が行われますが、その後に金属製のボールが取り出され、最後には色違いのジャンボコインも現れます。

デックで四分割のカットのフラリッシュを行った後、ジャンボファンにした状態で客に1枚選ばせます。そのカードにサインをさせデックにもどします。デックより繰り返し客のサインカードが取り出され、その都度、テーブルへ裏向けて置きます。4回目の出現の時、デックが消失し、左手には1枚だけとなり、そのカードはサインカードではなく、Aであることが示されます。テーブル上の3枚を表向けると、3枚共Aに変化しています。横に置いてあったカードケースの下よりサインカードが出現し、空のはずのこのケースよりデックが再現します。そして、マットを持ち上げると、再度、目覚まし時計が音を鳴らしながら現れて終わります。

スライトとフラリッシュで押しまくられたといった内容でした。うまいだけでなく、不思議さもありましたが、メインになるものが弱く、6人の演技を見終わった直後には、目覚まし時計を出した人といった印象ぐらいしか残っていませんでした。そして、演者自身の印象も、6人の中ではもっとも弱く感じました

Sheldon Casavant  カナダ

5枚の普通のカードのあらためを行った後で、ビジュアルにロイヤル・ストレート・フラッシュに変わります。ハーフダラーがジャンボサイズになり、このコインの消失と再現が繰り返されます。
コーラの模様が描かれた三つの紙コップを並べ、カップ・アンド・ボールの演技が行われましたが、ボールの替わりのに氷を使用して行われました。そして、クライマックスとして、一つのカップの下よりミニサイズのコーラのカンが出現します。二つ目からは小さいグラスが現れ、三つ目のカップより、液体のコーラが出現してグラスにそそがれます。

全体的に悪い部分がなく、2位を獲得してもおかしくないと思っていたのですが残念です。
なお、彼はIBM大会の後、SAM大会のクロースアップ・コンテストにもチャレンジされており、そこでは2位を獲得されています。SAM大会でのクロースアップの1位は、Patrick Przysieckiです。彼はこのIBM大会においてもアダルト部門で1位を獲得された方です。

終わりに

今回の6名は、それぞれに一長一短があり、誰が2位になってもおかしくないと思っていました。
1位の間違いではありません。昨年や2年前に比べ、6名全員共にもの足りなさがいろいろあったからです。面白みが大きい反面、気になる点も大きかった人や、欠点が少なかった反面、もっとオリジナルな面白いことをしてほしかった人等があったからです。そういった中で、オリジナル性のあるマジックを演じ、観客の反応が高く、拍手も大きかった人が1位を獲得したといった状況です。特にゴールドカップ受賞のジュニアの人は、これらのことでは目立っていたといってもよいかもしれません。しかし、マジックの内容に比べ服装までの目立ちすぎはどうかと思ってしまいましたが、私の考えが古くなってしまったのでしょうか。

今年を含めた5年間のジュニアの1位と2位をふりかえってみますと、面白いことがわかりました。3人の人物が特に活躍していることがわかったからです。1年前と4年前の1位はDanny Hillが獲得しています。そして、2年前と3年前はWinston Hellingが1位を獲得しています。昨年までの3年間連続して2位であったChase Cortisが、今年になって1位だけではなく、ゴールドカップまで受賞してしまいました。今後、この3名のうち誰がクロースアップマジック界のスターとしておどり出てくるのかが楽しみです。

今回を含めて3回にわたりIBM大会のクロースアップ・コンテスト・ファイナル6の報告をしてきましたが、今回でこの報告はひとまず終わることにします。この報告をさせていただいたのは、これを参考にして日本人もIBM大会のクロースアップ・コンテストにチャレンジして、ファイナル6に残る方が現れることを期待して書かせていただきました。そしていつの日にか、IBM大会でのクロースアップ・コンテストの最高の賞でありますゴールドカップを獲得される日本人が現れることを願いつつ報告を終わらせていただきます。


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