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コラム

第8回 2002年IBM大会 クロースアップコンテスト 〜ファイナリスト6組の演技報告〜 (2002.9.22up)




昨年と同様に今年もIBM大会に参加してきました。7月3日より4日間サンディエゴで開催され、参加者は約1300名です。今回もクロースアップコンテストについて報告したいと思います。このコンテストは21名で競われました。その内6〜7名がジュニアであったと思われます。朝8時よりコンテストが開始され、終了したのは12時ごろです。この中から6名のコンテスタントが、ファイナル6として、ゴールドカップをめざし、翌日の決勝戦にいどみました。6名の内1名がジュニアです。

この6名の演技内容と、予選での全体の状況も含めて報告します。なお、結果としては今年度もゴールドカップの該当者はありませんでした。

1位 Brian Oschad ロサンジェルス

テレビか映画の人気キャラクターなどの各種物まねをいたるところで断片的に取り入れながらマジックが行われました。オープニングでの登場のしかたも、人気アニメに関係したものと思われます。アニメ特有のドタバタした音が流されると、走りながら登場して、上空から落下してくるものをシルクハットで受け止めようとしていました。そのシルクハットより、普通の細長いストローと、1メートルほどのストロー、そして太い1メートルほどのストローが取り出されます。

次にバイシクル社製のカードケースよりデックを取り出すと、ケースが小さくなり、カードをファンに広げるとその後方よりミニのバイシクル(自転車)の模型が取り出されます。この自転車を右手に持って空中を飛んでいる用にするときに、左手の人差し指だけ伸ばして、指先は赤く光り輝いています。そして、この時に映画のE.T.のテーマ曲をハミングしていました。
この後、ギャグやフラリッシュも取り入れながら、4Aの1枚ずつ取り出しが行われました。

そしてカップ・アンド・ボールが演じられましたが、普通のウォンドをしようせず、鉛筆のあたまに動物の人形がものを使っていました。クライマックスではカップより多数の小さな物体が出てきます。ペンスル(鉛筆)の英語としての発音で聞こえましたが、それがなんであるのかよくわかりません。 何かの形をした小さなお菓子なのか、ジグゾーパズルの多数の断片なのか? そしてエンディングは最初にテーブルの端においたシルクハットの中より、かわいい子ウサギが取り出されます。そして、それを2匹に分裂させておわります。

観客の反応はこの人がもっとも高かったと云えます。しかしそれはマジックそのものよりも人気キャラクタのものまねを各所にいれて演出していたことによるものと云っても良いかもしれません。また、ラストのうさぎの取り出しと分裂もよくうけていました。ただし、マジックとしては少しダイレクトすぎると感じてしまいました。

テクニックにおいては、カードの扱いやボールの扱いは標準的といったところです。しかし気になったのは、4Aの取り出しの途中で空中での4分割カットのフラリッシュを取り入れていましたが、ぎこちなく行っており、省略した方が良いのではないかと思ってしまいました。

昨年度の1位の人と比べると、マジックそのものの面白さ、うまさでは負けていますが、エンターティナー性では上回っていたと云えます。

2位 Rod Chow カナダ

中国系のカナダの人だと思われます。紙幣を使ったトリックのオンパレードでした。最初に紙幣の大きさの紙を示しますが、黒と白が格子じま状となった横紙が入っています。裏も同様です。これが一瞬にしてカナダ紙幣に変わります。

その後、同様の模様の束の紙がすべてカナダ紙幣となったり、カナダの1ドル紙幣が3回変化して、しだいに高額のカナダ紙幣とかわります。また最初と同様の模様の紙に息を吹きかけると、黒と白の小さい紙が飛び散り、高額のカナダ紙幣に変化します。次にカラであることをあらためた両手により、アメリカの1ドル紙幣が取り出され、この紙幣がミッキーマウスの顔が入った紙幣にかわります。これはどちらもすごい反響でした。
さらにいくつかの現象があったあとで、ドル紙幣が横に1メートルほどつながった紙幣が縦方向にも連鎖してつながった1メートル四方の紙幣がいっぱいの状態となって終わります。

紙幣マジックだけでそこまで出来るのかと思わせる内容であり、全体の手順の構成も次第にもりあがってゆきました。財布と譜面台上のテーブルをうまく利用して、次から次へと止まることなく現象を続けていました。まだまだ紹介しきれていない現象がありますが、オープニングとラストのもりあげが素晴らしく、印象的です。

また中央部分においても、最初の間はカナダ紙幣へのチェンジを中心に行っていたのが、初めてアメリカドル紙幣が出現した時には大きな拍手がわきおこりました。さらに、それがミッキーマウスの顔入りに変わったときには歓声があがっていました。自分の国の紙幣、自分の国の文化という思いの強さを感じさせられました。またそれをわかっていて、このような手順構成にした頭の良さにも感心させられました。以前に沢浩氏の紙幣の手順を見たことがありますが、そちらとはまた趣が異なった迫力と面白さがありました。

ジュニア部門 1位 Danny Hill ネバダ

カウボーイ・ハットをかぶって登場し、最初に2個のダイスを出現させます。その後、白の小さいボールを取り出し、それが赤に変わり、さらに赤シルクに変わります。この後、ストーリー付きのカップ&ボールの手順に続けていました。最初は3つのカップだけで行い、次に2つのカップで、そして最後には1つのカップだけで行っていました。最終的にはその1つのカップの下より野球のボールが出現します。そして使わずに横へ処理した2つ重ねのカップの下より赤の大ボールが出現します。さらに、テーブル中央に残っているカップより2個重ねの大きなダイスが出現します。その後、このカップの下より赤シルクも取り出され、野球ボールを赤シルクで包むと大きなソフトボールになります。立ち上がって帽子を取ると、頭よりボール3個が落ちてきます。

カップ&ボールのテクニックが特にうまいとか、特別に変わった方法を使っていたということはありませんが、ストーリーの展開の面白さと演出が評価された物と思われます。なお、ジュニア部門2位の人はテキサスのChase Curtisでした。昨年もジュニア部門の2位を獲得しています。今年度も演技内容は昨年同様で、電池と懐中電灯のマジックで始まり、最後には、電池を使ったカップ・アンド・ボールを行っていました。ファイナル6には残れませんでしたが、昨年に比べ各所に改良の跡がみられ、演技全体が昨年よりもテンポよくスムーズに行えていたと思います。

残り3名の方は、おしくも1位、2位にはなれませんでしたが、
それぞれ熱演されていましたので、内容も詳しく報告したいと思います。

Troy Choy 韓国

棒の先に人指し指をのばした手がついているものや、振れば面白い音が出る星形がついているものを使用して、自己紹介やこれらの棒についての説明をしていました。この後、カパーフィールドやコロンビニの早変わりをしましたが、これはマジックというよりもギャグ風なパフォーマンスといった方が良いようです。次に、細長くて大きなカップを3つ並べられましたが、これもギャグを取り入れたカップ・アンド・ボール・パフォーマンスです。ターミネーター・バージョンとマイケル・アマー・バージョンが行われました。ターミネーター・バージョンではそのBGMが流れると黒メガネをかけて、ピポパポというキー操作音を出したり、首や手の動きに合わせてギー・ガシャンと言う機械音もだしていました。ボールは使用せずに、指先に捕まえた赤いライトの消失とカップの下からの取り出しです。

マイケル・アマー・バージョンでは親指の消失とカップの下からの再現です。この時は日本のおもちゃのちょんばげカツラをかぶり、アマーのトピット解説のまねをして行っていました。

次に、テーブルに向かって椅子に座った状態で、デックを空中にスプリングして蒔きちらし、その中より素足のゆびにより客のカードをはさんで捕まえていました。最後のマジックはトリックデックとレギュラーデックを使ったマジック。トリックデックはすべてがダブルバックであることを示した後、客に4枚抜き取らせます。その4枚をレギュラーデックから選ばれた1枚に1枚ずつ加えると、順次同じ数のカードに変化し、残りのダブルバック・デックの全てがレギュラーカードに変化してしまいます。

前半はギャグばかりでマジック的要素が少ないのが気にかかります。有名人のマジシャンをネタに利用するのは受けますが、マイケル・アマー・バージョンのようにマジシャン自身を笑いのネタに使うことは一部の人に反感を買うおそれもあります。また、マニヤだらけの身内受けという感じもしてしまいました。また、ギャグを立て続けに行う場合、受けていないときは重苦しいムードになります。後で本人が言っていた感想では、会場によって受け方の差が大きかったことを告げてくれました。

カードの演技を見ていると、かなりテクニックがありそうです。それをもっと前面に出した演技を見せて欲しかったという思いがしました。しかし、演技中は堂々とした英語を話し、素人離れした度胸と茶目っ気があり、エンターティナー性では優れていると思いました。テクニックもうまそうなので、今後が楽しめそうです。なお、日本のクロースアップ・コンテストにもチャレンジしたいようなことも言っていました。

Doug Gorman and Michael Tallon テキサス

2人でのカップ・アンド・ボール。
1人は赤シャツに赤ネクタイ、もう1人は黒シャツに黒ネクタイで、左右から向かい合わせに登場します。2人とも、同じカバンを持っています。赤服の人は顔の左半分がやけどの跡が残っており、左を向いて黒服の人に話しかけることが多かったようです。

まず最初に、お互いに「悟空の玉」の演技で実力の見せあいをしますが、その後、2人とも、このプラスチック製のカップを重ねてハンカチでカバーすることにより、金属製のカップ・アンド・ボールのカップに変化させます。黒服の人は黒ボールで、赤服の人は赤ボールを使って2人は動きを一致させて演じていました。ちょっとマニヤックな操作を取り入れたり、フラリッシュ的なカップの操作も行っていました。また2人の動きをわざとずらして変化をもたせたりしていました。そして最後の部分で、2人のそれぞれの3つのカップの下より強いさなカップが出てきます。黒服の人のミニカップから赤ボールが出現し、赤服の人のミニカップより黒ボールが出現します。その後、手前においた普通サイズのそれぞれのカップの下より赤黒まだらの大ボールが出現します。2人とも立ち上がってネクタイを触ると、赤服の人は黒ネクタイに、黒服の人は赤ネクタイに変化して終わります。

カップ・アンド・ボールのカップに変化したところよりBGMが流れ、最後の相手の色のボールが出て、さらにまだらのボールが出てくるところでは、BGMも感動的な曲が流れていました。2人の動きを一致させるところでは少し動きがずれる部分もありましたが、全体的には合っており、面白い試みだと思いました。顔の左半分にやけどがあることにより、今回のコンテスト参加にあたっては2人の出会いから出場にいたる決意までを考えると、何か感動的なドラマがあったのではないかと想像してしまいます。クライマックスではいつの間にか目頭が熱くなる思いがしてしまいました。

Doug Brewer サンディエゴ

コルクのボール(ビリヤードボールより小さいサイズ)の消失と再現の後、赤ボールに変化し、最後には大きな赤ダイスに変化します。

3枚のコインと小銭入れと同タイプの小銭入れの口金を使ったマジック。

小さなにわとりの人形を使ったカード当て。スプレッドしたカードにそって人形を動かし、5個の玉を産み落とす部分が見せ場です。4つ目の玉だけが色がついており、その部にあるカードを取り上げると客のカードではなく、にわとりを持ち上げると卵を生み落とし、その中よりミニの客のカードが出てきます。最後には、横に置いておいたこの人形の下に、いつの間にかレギュラーサイズの客のカードが出現します。

日本製の箸に穴あきコインを通します。このコインを箸ごと左手に握って、箸を引き抜いて左手をたたくとコインが消滅しています。

箸と茶碗と小銭入れの口金によるマジック。最後には茶碗を取り上げると、テーブルマット上がお米でいっぱいになります。

クロースアップマジックに使用される各種素材を使用して、テクニカルなマジックをうまく行っていました。カードマジックでは、面白い節回しのハミングをしながらにわとりが5つの卵を産み落としてゆくところが、もっとも受けていました。残念なことは、各マジックがそれぞれまとまっており、全体的な印象や盛り上げに少し弱さを感じたことです。

今回のクロースアップコンテスト 全体を通しての印象

昨年のクロースアップ・コンテストでは、1位と2位はこの人以外にはありえないというほどに2人は突出していました。今年に関しては、昨年のように特別に目を引きつけた人物はいませんでした。しかし、私の見たところ、ジュニア以外で7人がファイナル6に残ってもおかしくない激戦状態だったともいえます。それぞれに一長一短があり甲乙つけがたいからです。そんな中で、観客の反応がより高かった2人が1位と2位になったように思われます。

昨年度はカップ・アンド・ボールを演じる人が2人しかいなく、2人とも入賞しました。今年度は21名のコンテスタントの内5名が演じています。そして、ファイナル6にはその内の4名が入りました。

なお、残りの1名はファイナル6にはのこれませんでしたが、ジュニア部門で2位を獲得しています。そして、今年度はシニアもジュニアも1位はカップ・アンド・ボールは点数をかせぎやすいのかと思ってしまいます。ただ今回行った人は、それぞれに演出やクライマックスに工夫をこらしている点が印象的です。これは昨年度の2人も同様です。

コンテスタントの顔ぶれを見ますと、昨年も出場した人が数名いましたが、今年は地元のサンディエゴやカリフォルニアからの出場者が多かったようです。毎年20名以上のコンテスタントが出て、各自の個性を発揮している人が多いので、私にとっては4時間があっというまにすぎてしまった想いがしました。

ステージマジックでのトピック

今年度のIBM大会で特筆すべきことは、武藤桂子さんがステージコンテストにおいてゴールドメダルを獲得されたことです。日本人においては初めてのことです。クロースアップコンテストのゴールドカップもステージコンテストのゴールドメダルも獲得するのは困難な、名誉ある賞です。どちらも3〜4年に1人しか獲得できていません。本当におめでとうございました。


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