11年間連続参加したI.B.M.大会を昨年は欠席し、2年ぶりの参加となります。2年前のダラスと同様で、今年も強烈な暑さのアリゾナ州フェニックスで開催されました。空港から市内電車(ライトレイル)までをつなぐモノレールの高所からの眺めが印象的で、インディアンが馬に乗って現れそうなアメリカ特有の景色で迎えられました。それでは、今回もコンテストの結果報告から始めることにします。 |
23組の予選を勝ち抜いて決勝戦に出場したファイナル6の6組は、それだけで受賞したことになります。決勝戦ではゴールドメダルやピープルチョイス賞、そして、1位や2位の獲得を目差して演じることになります。各受賞者は次の通りです。
|
今年は14組だけの出場であったためかファイナル6の決勝戦がありません。ジュニアも数名が出場していますが、ここではアダルト部門のみの報告とします。
|
決勝戦へと勝ち進んだ6組は、日本が2組、アメリカが2組、そして、中国と台湾から一人ずつの出場です。 |
今年の特徴は、いつも上位を獲得している韓国からの出場者がなかったことです。変わりに日本、中国、台湾が中心に活躍しました。日本からの出場者は4組です。決勝戦に進んだ上記の2組以外では、オマタ・ミチヨさんとツルオカ・キョウコさんが奮闘されましたが、惜しくも決勝には進めませんでした。今回もファイナル6決定ラインの出場者が多かったと思います。ジュニアのレベルも高く、2位の台湾の出場者もファイナル6に加わってもよい実力を持っていました。 |
1位のAlberto Lorenzoはダイスを中心とした演技です。特別のテーブルを持参し、その上で演じています。60才を超えていると思われますが、バラリノを感じさせる滑らかな動きで、次々と各種の大きさのダイスを取り出したり不思議な現象を起こしていました。そして、出現させたダイスを積み重ねると、二つの大きな塔が出来上がります。最後に二つの酒入りグラスを取り出すと、大きな歓声とスタンディングオベーションが起こりました。 |
大会参加者数は正確には分かりませんが、私の印象では700名は超えていなかったように思います。また、ディーラーの数は30店以内だったと思います。その中で日本の店は、コインを扱っている中島氏のクライスマジックと、ダイスケ氏がアメリカで経営されているセオマジックの2店だけでした。いずれも、他店にはない品揃えで人気がありました。毎日、夜にはステージマジックショーがあるのですが、木曜日の夜には面白い企画のショーが催されました。「マジック・マイク・ショー」のタイトルで、司会も出演者も全員がマイクの名前がついた一流のマジシャンばかりです。オープニングで「マジック・マイク・ショー」の場内アナウンスされると、ステージ中央のスタンドマイクにピンスポットが当てられていたのがシャレていました。このショーの中で、最も多くのスタンディングオベーションをうけていたのが台湾のマイク・チャオです。彼は2年前のダラスの大会でファイナル6に残ったものの、2位すらも獲得できませんでした。その時の1位と2位が韓国で、2位が昨年のFISMのマニピュレーション部門で1位とステージ部門のグランプリを獲得されたユー・ホー・ジンです。2年前のファイナル6の3名がカードマニピュレーションであったことが不運としか言いようがありません。 |
来年はI.B.M.とS.A.M.との合同大会で、参加人員も規模も大きなものになりそうです。10年前までのI.B.M.大会は1000名以上の参加者が普通でした。それが年々少なくなる傾向にあります。景気の問題やマジック大会が増えたことが影響しているのかもしれません。特にFISM開催の年は、I.B.M.大会参加者がかなり少なくなるようです。今年は大規模のMAGIC Liveの大会が8月にラスベガスで予定されており、少し影響を受けているようです。それでも、日本からの参加者は25名を超えていたように思います。来年の合同大会は、日本からの参加者数もコンテスト出場者数もかなり多くなりそうです。一人でも日本人が入賞されることを期待していますが、そのためには、多くの観客のスタンディングオベーションが必要となります。完成度の高い技術と演技とエンターテイメント性。そして、不思議さか新しさで度肝を抜く発想が必要と思います。さらに、日本的趣が加われば言うことないのですが、私が出来ないことを期待を込めて書かさせて頂きました。頑張れ日本! |