最近、日本で製造されています紙製のポーカーサイズのレギュラー・デックが、かなり良くなってきています。関西と関東の二つのメーカーが、マジックに適したカードとして販売されています。これらのカードが、アメリカ製のバイスクルに比べ、どのような点が優れており、反対に、どこが弱いのかを、私の個人的な意見として報告させて頂きます。なお、「マジックに適したカード」については、2001年の最初の私のコラムに少し触れていますので、そちらも参考にして頂ければと思います。 |
これは、ファンやリボン・スプレッドのしやすさの問題といえます。日本の二つのメーカーのカードのすべりは、どちらも最適です。ただし、まだどちらも使い込んでいませんので、もっと使って月日が経つと、すべりがどのように変化するのかが気になるところです。 |
これは、スプリングやリフルのしやすさの問題といえます。日本製のカードも、かなり良くなっています。適度の弾力性をもつようになってきました。ただし、バイスクルを基準にしますと、今回取り上げました二つのデックは、どちらも少し硬く感じられます。しかし、これぐらいの硬さの方が、耐久性があるのではないかと思われます。また、この方が高級感を感じられます。柔らかいカードでは、安っぽく思われる可能性があります。 |
日本のカードは、印刷が優れているだけでなく、バックの縁の白い幅の上下や左右に差がない点も優れています。白い縁の問題は、日本の全てのカードやヨーロッパのカードでもそろっています。差がある場合でも、わずかです。 |
これに関しては、日本の二つのメーカーのカードは、わずかですがアメリカに負けています。アメリカのカードは、気持ちよいぐらいにスムーズに1枚ずつかみ合わさってゆきます。もちろん、日本のカードも、実際にフェロウ・シャフル行ううえでは割合スムーズで、何の支障もありません。 |
これはデックを片手で二分割して、一方は親指と人差し指ではさみ、他方は人差し指と残りの三指にはさんで持って、二つをかみ合せてゆくフラリッシュ的シャフルです。私もよく使い、なれているつもりのテクニックです。 |
U.S.プレイング社の各銘柄のカードの顔は、基本的には統一されています。この顔に見なれているためか、日本の二つのメーカーの顔は異質に感じてしまいます。関東のメーカーの絵札は全てほっそりした顔になっています。関西のメーカーは、少し丸みのある顔であり、日本のアニメ的ムードがあります。一般の日本人には、この二つのメーカーの顔も好まれるのかもしれません。しかし、私の個人的な好みは、アメリカのカードの顔を少し変えたぐらいの方が違和感もなく好感がもてます。少し変えただけでは、著作権の問題が関係してくるのでしょうか。あるいは、メーカー独自の特徴のある顔にしようとされたのでしょうか。 |
カードの問題とは関係なさそうですが、ケースにデックを入れる時や出す時にイライラさせられるのはいやなものです。アメリカ製の紙ケースは、デックの出し入れがスムーズに出来るようになっています。そのまま日本でも採用してもらえるとありがたいのですが、関東のメーカーはアメリカ・タイプになっていました。 |
これは、マジックに活用しやすいジョーカーの絵であるのか。そして、同じ絵のジョーカーが何枚あるのかといった問題です。 |
結局、日本のカードがかなり良くなってきており、アメリカやヨーロッパ製よりも優れている部分があることが分かりました。もっと改良が加えられて、マジシャンが使いやすくなり、デザイン的にもより優れたものが出てくれば、海外のマジシャンが欲しくなるデックになることも夢ではありません。期待しているところです。 |