セルフワーキング・カードマジックがブームになるということがありえるのでしょうか?
可能性はないとは言えません。そのことの重要なカギを握っているのが日本テレビ系列で毎週火曜日に放映されている人気番組「伊藤家の食卓」です。裏技という言葉を定着させたのは、たしかにこの番組ではないかと思います。また、1999年からの科学マジックのちょっとしたブームの火付け役もこの番組です。
科学マジックは、1998年11月に後藤道雄著「子供にうける科学手品77」が発行されベストセラーになったことも大きく貢献していますが、それ以上にテレビの影響は大きいと言えそうです。それ以降、科学マジックの本やそれに関係した本が多数発行されました。1999年の初め頃より「伊藤家の食卓」の中で、1作品は必ず科学マジックを取り上げ紹介されてきたからです。
この番組では、5〜6作品の生活に関係した裏ワザの紹介と、2〜3作品の不思議な現象や楽しい遊びを紹介する「大発見」のコーナーにわかれています。そして、昨年の10月初めより「大発見」のコーナーにおいて、1作品ずつトランプを使った「不思議遊び」が照会されるようになりました。番組の中では「手品ではありません」といっていますが、セルフワーキングカードマジックの原理を使った手品です。
さらに、10月はじめ頃には「伊藤家トランプ」が売り出されました。このトランプには「遊び方カード」とよばれる解説のカードも入っており、ゲームや占いと11種類の「不思議遊び」が簡潔に説明されています。テレビの番組ではこれを順番に紹介されているようです。
科学マジックがブームとなった時のことを考えると、次は、セルフワーキング・カードマジックの ちょっとしたブームがおとずれるのではないかと考えてしまいたくなります。
そもそも、トランプを使った「不思議遊び」が最初に登場したのは、去年の3月20日に遡ります。 タイトル名は「13の不思議」です。とことん「13」にこだわっているところが面白く、私も楽しく見てしまいました。この作品が反響を呼んで、やり方がわからないからもう一度放映してほしいという要望が多かったもようです。そこで、5月8日に「今夜もう一度だけ、13の秘密の手順公開」として再演されました。この時は、単に演じるだけではなく、失敗しないための重要ポイントにも触れながら演じられました。同じ内容を再演されたのは、番組が始まって以来、これが始めてであったかもしれません。それから半年後に「伊藤家トランプ」が売り出され「不思議遊び」がシリーズ化されたわけです。
番組の中で、この「不思議遊び」が紹介される時のきまり文句が3つあります。
「これは手品ではありません」
「数学の理論により、きちんと説明できるのですが、それを説明するとわけがわからなくなります」
そして、最後のきめゼリフが
「なりものはなる」
です。特に最後のセリフは私も使わせてもらおうかと思っています。 「手品ではありません」と言っていることに関しては、いくつかの理由が考えられますが、ここでは長くなりますので割愛します。
伊藤家トランプに解説されている11作品の「不思議遊び」ですが、方法をシンプルにして、 セリフや演出面を工夫して、楽しい作品に作り上げています。その中でも私が最も気に入ったのは2番目の「スキスキいとうけ」と6番目の「犯人をさがせ」です。この2作品は、解説通りに行うのが一番よいようです。しかし、この作品を知っている人に行うために、ひねりを加えて最後の結末が少し以外性があるように変えました。
不思議遊びの裏技と言ってもよいのでしょうか。 一般的な種明かしにならないように、原案を知っている人だけにわかるようにしました。変更した部分のみ紹介させていただきます。 |