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コラム

第4回 『伊藤家の食卓』とセルフワーキングマジックについて (2002.2.2up)

セルフワーキング・カードマジックがブームになるということがありえるのでしょうか?
可能性はないとは言えません。そのことの重要なカギを握っているのが日本テレビ系列で毎週火曜日に放映されている人気番組「伊藤家の食卓」です。裏技という言葉を定着させたのは、たしかにこの番組ではないかと思います。また、1999年からの科学マジックのちょっとしたブームの火付け役もこの番組です。

科学マジックは、1998年11月に後藤道雄著「子供にうける科学手品77」が発行されベストセラーになったことも大きく貢献していますが、それ以上にテレビの影響は大きいと言えそうです。それ以降、科学マジックの本やそれに関係した本が多数発行されました。1999年の初め頃より「伊藤家の食卓」の中で、1作品は必ず科学マジックを取り上げ紹介されてきたからです。

この番組では、5〜6作品の生活に関係した裏ワザの紹介と、2〜3作品の不思議な現象や楽しい遊びを紹介する「大発見」のコーナーにわかれています。そして、昨年の10月初めより「大発見」のコーナーにおいて、1作品ずつトランプを使った「不思議遊び」が照会されるようになりました。番組の中では「手品ではありません」といっていますが、セルフワーキングカードマジックの原理を使った手品です。

さらに、10月はじめ頃には「伊藤家トランプ」が売り出されました。このトランプには「遊び方カード」とよばれる解説のカードも入っており、ゲームや占いと11種類の「不思議遊び」が簡潔に説明されています。テレビの番組ではこれを順番に紹介されているようです。

科学マジックがブームとなった時のことを考えると、次は、セルフワーキング・カードマジックの ちょっとしたブームがおとずれるのではないかと考えてしまいたくなります。

そもそも、トランプを使った「不思議遊び」が最初に登場したのは、去年の3月20日に遡ります。 タイトル名は「13の不思議」です。とことん「13」にこだわっているところが面白く、私も楽しく見てしまいました。この作品が反響を呼んで、やり方がわからないからもう一度放映してほしいという要望が多かったもようです。そこで、5月8日に「今夜もう一度だけ、13の秘密の手順公開」として再演されました。この時は、単に演じるだけではなく、失敗しないための重要ポイントにも触れながら演じられました。同じ内容を再演されたのは、番組が始まって以来、これが始めてであったかもしれません。それから半年後に「伊藤家トランプ」が売り出され「不思議遊び」がシリーズ化されたわけです。

番組の中で、この「不思議遊び」が紹介される時のきまり文句が3つあります。
「これは手品ではありません」
「数学の理論により、きちんと説明できるのですが、それを説明するとわけがわからなくなります」
そして、最後のきめゼリフが
「なりものはなる」
です。特に最後のセリフは私も使わせてもらおうかと思っています。 「手品ではありません」と言っていることに関しては、いくつかの理由が考えられますが、ここでは長くなりますので割愛します。

伊藤家トランプに解説されている11作品の「不思議遊び」ですが、方法をシンプルにして、 セリフや演出面を工夫して、楽しい作品に作り上げています。その中でも私が最も気に入ったのは2番目の「スキスキいとうけ」と6番目の「犯人をさがせ」です。この2作品は、解説通りに行うのが一番よいようです。しかし、この作品を知っている人に行うために、ひねりを加えて最後の結末が少し以外性があるように変えました。

不思議遊びの裏技と言ってもよいのでしょうか。 一般的な種明かしにならないように、原案を知っている人だけにわかるようにしました。変更した部分のみ紹介させていただきます。

「スキスキいとうけ」(改案名;スキスキダイスキ)

原案は、ダウン・アンダーして最後に残ったカードがお友達のカードになります。
私の改案では、最後にお友達のカードが出てきません。テーブルに配られたカードのトップから「ダイスキ」と言いながら1枚ずつカードを配ってゆくと、4枚目にお友達のカードが出てきます。

原案と同様に行ってゆきますが、お友達にカードを選んでもらう時「ダイスキ」なカードを選ぶように強調して言います。最後の段階ではダウン・アンダーではなく、アンダー・ダウンを行います。さらに、アンダーの時は「スキ」、ダウンの時は「キライ」と言いながら行います。意味のない操作であるアンダー・ダウンを「スキ・キライ」の言葉を使って、意味のある操作にされた考案者は松山光伸氏です。「セルフワーキング・マジック事典」に、それを使ったマジックが記載されています。

最後に「スキ」で1枚のカードが残りますが、これはお友達のカードではありません。「このトランプは、私(演者)の好きなトランプです。○○さんが選ばれたトランプは、ダイスキなトランプでしたよね?」と念を押します。テーブル上に配られたカードのトップより「ダイスキ」と言いながら1枚ずつ配って4枚目のカードを表向けます。

「犯人をさがせ」

原案では「ケイサツだ」と言いながらカードを配り、その上へ残りパケットを置いて取り上げます。 次に「逃げても無駄だ」といいながらカードを配ると、最後に犯人のカードが現れます。
私の改案では、上記のように行っても犯人のカードは現われません。この後、2つのセリフをつづけて一気に言うと犯人のカードが現われます。

最初に、よくシャッフルされた52枚をお友達に3分割してもらいます。この中で少ない山(13〜18枚)であればよい)を取り上げます。この中よりカードを選ばせ、戻してもらいますが、下から特定の位置に来るようにします。この下からの枚数目は原案通りの位置です。後は原案どおりにセリフを言いながらカードを操作することを行いますが、犯人のカードはあらわれません。「昔ならこのようなセリフを行った後でも犯人を捕まえることが出来たかもしれません。しかし、現在では『ケイサツだ』と言っただけで、すばやく逃げられてしまいます。『ケイサツだ!逃げても無駄だ!!』を一気に言ってしまう必要があります」と説明して、3回目にこの12文字のセリフを言いながらカードを配ると、最後に犯人のカードが現われます。

おわりに

私は、この「伊藤家トランプ」11作品のすべてが気に入ったわけではありません。4番目の「ジョーカーの悪戯」や、10番目・11番目の作品は好きな方ではありません。また、他の作品も、まだまだ改良の余地があります。そこが楽しめるところです。

改良にあたっては、シンプルであること。楽しい内容であること。そして、不思議であることが重要だと思っています。ところで、今回のこの文書を書いたのは去年の11月末でした。その事典では、伊藤家の食卓で不思議遊びの紹介が続けられていました。ところがその後、中断したままとなっています。

なお今年の1月2日には、Mr. マリックの特別番組がありましたが、その中でセルフワーキングのカードマジックが演じられ、特別に脚光をあびているように感じましたが、そのように感じたのは私だけでしょうか?


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