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コラム

第17回 2004年 IBM大会 クロースアップコンテスト (2004.12.27up)




はじめに

今年はオハイオ州クリーブランドにおいてIBM大会が開催されました。クリーブランドはアメリカとカナダの境界にあります巨大な五大湖のすぐ下に位置しています。大会の正式な参加人数はわかりませんが、1000人は参加されていたのではないかと思われました。

全体を通して印象に残りましたことは、ジェイソン・ラティマーがクロースアップ・ショーとステージ・ショーの両方にゲスト出演され、両方でスタンディング・オベーションをうけていたことです。また、日本人のゲストも活躍されていました。山本勇次氏はステージショーにゲスト出演され、前田知洋氏はレクチャーの講師をつとめられました。

残念なことは、コンテストにおいて、今年はステージのゴールドメダルもクロースアップでのゴールドカップも該当者がなかったことです。ステージ・コンテストは多数の方がチャレンジされていましたが、いつもの年に比べますと、マジックそのものの内容に物足りなさを感じてしまいました。ファイナル6に残りました6名の演技を観ても、服装や装飾や背景は工夫されているのが分かりますが、肝心のマジックの部分が弱いのです。しかし、そうであるにもかかわらず、ジュニア部門もシニア部門も1位を出していたのは、個人的にはしっくりしませんでした。これまでの1位になった人と比べますと、今年は該当者なしにしていた方がよかったのではないかと思ってしまいました。

クロースアップ・コンテストについて

今年の出場者は例年より多い27名で、4時間半かけて見続ける状況となりました。27名の出場者の内、24名は一定レベルの内容のある発表をされており、その中の2名は特に高いレベルと思われました。結局、予想どおりに、この2名がシニアでの1位と2位を獲得されました。特に1位となった方は、私がいました会場では、演技後にスタンディング・オベーションをうけていました。昨年までの私の報告は、ファイナル6に残りました出場者の演技内容を中心にしてきました。しかし、今回はせっかく多数の方が演技をされていますので、全体の傾向や印象に残りました演目のことを中心に報告したいと思います。

今年は3部屋に分かれて出場者は3回繰り返して演じることとなりました。ジュニアもシニアもまざった順番で行われましたが、私の判断では7名がジュニアで20名がシニアと思われました。この27名の出場者からシニアとジュニアの別なく、高い点数の6名が翌日にもう一度3部屋に分かれた会場を順に演技してまわることになるのです。今年は5名のシニアと1名のジュニアが、このファイナル6に選ばれました。

シニア部門1位の演技紹介

1位になった方はミシガン州のRickMerrillさんです。立ったままでテーブルは全く使用されませんでした。

メインとなります現象は1枚のコインと1本のマーカーペンによるものです。 コインとマーカーペンが、突然消えては現れ、入れ替わったり、ペンが短くなったり、キャップの色が変わったり、バラエティーにとんだ現象を起こしていました。オープニングでのコイン・マジックでは上着を着て演じていましたが、上記の演技の時には上着をぬいで、ワイシャツの状態で演じられていたところがにくい点です。勿論、メインとなりますテクニックはあれです。しかし、そのようなことを考えるひまもなく、次から次へと現象が行われてゆきます。

私の気に入った現象を紹介しますと、マーカーペンの両端を左右の手に持って、少し持ち上げた太ももに打ちつけると、マーカーペンが消失して、かわりにコインが太ももから跳ね上がってくるというものです。また、コインとマーカーペンだけで現象が続けられている中で、突然にマーカーペンが鉛筆に変化する部分もユニークでした。

オープニングに行っていましたコイン・マジックは、1枚ずつ3枚のハーフダラーが取り出され、それが1枚ずつ穴あきのチャイナコインに変化し、そして、この3枚のチャイナコインが一気にハーフダラーにもどるというものです。手には余分なコインを隠し持っているようには見えませんでした。このすぐ後に、1枚のジャンボコインが取り出され、ネクタイにより一部分がカバーされただけで、穴あきのジャンボ・チャイナコインに変わってしまいました。

彼のクライマックスでの現象は、ここでは書かないことにしますが、マーカーペンだけを使って、かなり派手でユニークな現象です。両手には多数のマーカーペンが、ファン状に広げられて取り出されるだけでなく、さらに、多数のペンがユニークな状態で現れるということだけは報告しておきます。

シニア部門2位の演技紹介

2位はカルフォルニア州からのIvan Amodeiさんです。

ビリヤード・ゲームをテーマにした現象です。オープニングでは紙袋から本物のビリヤード・ゲームに使用するキューが取り出されます。木製で1メートル以上はあったと思われます。硬くて本物であることが確認されます。大きいボールや小さいボールを使用した演技が次々と行われます。また、キューの先につけるキャップのようなものでシンブルのマジックが演じられ、最終的に、10本の指先にキャップが出現していました。クライマックスは、マットがミニのビリヤード台となり、小さなボールが一気に多数取り出されて終わっていました。

二人の演技を観て

二人に共通していますことは、数分間の演技がだれることなく、次々と現象が起こり、しかも、失敗しないだけでなく、失敗することを感じさせない安定したテクニックで演じられました。また、全体の構成もよく考えられており、演技に引き込まれてゆきました。

私としては、テクニックと全体のユニークさから、1位のMerrill氏の演技の方が好きです。但し、同じようなテクニックを多用しているとか、マジックの風格からいえば少し軽いと言われそうな面があり、ゴールド・カップを逃したのかもわかりません。ただ、私の印象では、初登場でゴールド・カップやゴールド・メダルを獲得するのは、かなりのことがない限り少ないのではないかと思っています。そういった意味では、初登場での1位はすばらしいことだと思いました。

私の印象に残った一人のジュニアの演技について

彼は13〜15才ぐらいだと思います。ファイナリストの6名に入れなかっただけでなく、ジュニアの2位も取れませんでした。それでも、もう一度観ておきたかった演技者でした。 彼は、最初の段階で、デックを空中で4分割しながら行うフラリッシュ・カットを行いました。しかし、動作がぎこちないのです。スムーズに出来ないのならば、行うべきではないと思ってしまいました。しかし、この後で行われた4枚のエースを次々と各種のフラリッシュ的方法により取り出すのは、かなりうまかったのです。ただ、気になったのが4枚目のエースの取りだしです。左手のデックの中央より、ブーメランのように飛び出させて、右手でつかまえようとするのですが、失敗してしまいました。「プロであれば、必ずつかまえることが出来ます」というようなことを言ったと思うのですが、もう一枚のカードを飛び出させ、今度は右手できっちりとつかまえていました。それは、勿論、4枚目のエースでした。

後日に聞いた話では、他の部屋でも、彼は飛ばしたカードを一度目は失敗しており、二度目でつかまえていたそうです。そういった演出なのでしょうか。シニアで1位になった方の場合には、2回もマーカーペンを横へ飛ばしてしまう場面がありました。これは、あるテクニックが失敗したかのように見えますが、すぐに手元には、新たなマーカーペンが出現しているのです。彼のこれまでの安定したテクニックと演技内容を観ている観客は、その時は失敗したと思っても、すぐに、これは彼の演出であることに気がつきます。でも、ジュニアの行った行為は、失敗したと思われてもしかたのないような行為でした。失敗を想定して、予備に用意していたもう一枚のエースを使ったと、その時は、私も思い込んでいました。

ところが、この後で行われたカード・マジックがスムーズでうまいだけでなく、ひねった不思議さがあるのです。まず、取り出された4枚のエースが、いつの間にか4枚のキングに変わっています。この4枚のキングだけを使って、1枚ずつ一カ所に集まるオープン・トラベラーのような現象が演じられますが、最終的に、裏向きに集まった4枚のカードを表向けると、4枚のエースにもどっています。この4枚のエースで何かのマジックを演じた後、4枚のキングになります。デックから4枚のエースを取り出し、表裏表裏に重ねると、すべてが裏向きとなり、4枚を表向けると、4枚ともブランク・カードになっています。そして、テーブル上のデックを表向けてスプレットすると、すべてがブランク・カードになっているのです。

ところで、このマジックではデック・スイッチが使われていたのでしょうか。そのことの確認も、彼の演技をもう一度観ておきたかった理由の一つといえま。もし、スイッチされておらず、最初から、同じデックを使用されていたとしますと、最初のぎこちない四分割のフラリッシュ・カットの謎が分かったような気がしてきました。カットした部分に、普通のカードがあることを印象づけるために、ゆっくり行っていたので、ぎこちなく見えたのかもしれません。他の部分がうまいのに、四分割カットだけがぎこちないのが気にかかっていたのでした。

彼の場合、技術点は誤解されるようなことを行っているため、高い点数がもらえなかったのではないかと思います。そして、彼のマジックの内容は、どちらかといえば、一般受けというよりも、少しマニアックであったかもしれません。コンテストの内容としては、改善すべき点が多くありましたが、個人的には楽しませてもらえた演技者でした。今後の彼の成長が楽しみになってきました。

カップ・アンド・ボールの演技について

今年は4名がカップ・アンド・ボールを演じていました。

ここ数年のコンテストを振り返ってみますと、カップ・アンド・ボールを演じた方は、全員が2位までに入賞されているか、または、ファイナリストの6名に入っていました。それは、それぞれの方が工夫をこらして、個性のある内容で演じられただけでなく、かなりうまかったからです。ところが、今年の4名は個性がないか、あっても問題を感じてしまいました。また、4名の内の2名は、技術的な未熟さを感じました。

今回は、その中で、個性的であり技術もあるのに問題を感じてしまった一人のジュニアの演技を報告したいと思います。まず、三つのボールの内の一つを黒いボールに変化させていました。その後、カップの下からボールではなく、ベビーの人形を出していました。ベビーがハイハイして出てくれば面白いですし、丁寧に扱っておれば問題ないのですが、彼の場合は扱いがぞんざいなのです。さらに、ボールの時と同様にベビーの一つを黒色に変えていました。こういった現象をどのように反応してよいのかが困ります。クライマックスにおいては、各カップより各種のベビー用品が現れます。中央のカップからはミルクが入った容器が現れます。しかし、このミルクと思われたものが白いシルクであることが分かり、それを空中で一振りすると、ミルクが入った哺乳瓶が現れました。このクライマックスは気に入りました。

少し変わったコイン・アセンブリーについて

数名の方がコイン・アセンブリーを演じられましたが、その中で二人の方が、少し変わったことをしていましたので紹介させていただきます。一人の方は、2枚の透明なカードでコインをカバーしてアセンブリー現象を演じていました。変わったムードがあって面白いと思います。しかし、思ったほどのインパクトは感じられませんでした。

それと比べるのは酷ですが、クロースアップショーでのジェイソン・ラティマーの透明なカップのカップ・アンド・ボールは、あまりにも衝撃的ですばらしい内容でした。

二人目は、チンカチンクのように手のカバーでアセンブリー現象を行っていた人の場合です。途中で、コインをカバーした手の下よりコインが消失し、横に突き出した肘の下のテーブル上にコインを現していました。これを反対側の手でも、同様に行っていました。ちょっとした意外性が、面白く感じてしまいました。

全体のまとめとして

今回の27名の出身地をみますと、地元のオハイオ州の方が9名、隣のミシガン州とペンシルバニア州を加えますと、半数の14名となります。もちろん、遠くはなれたハワイから1名、カルフォルニアからは3名もチャレンジされています。しかし、地元からが、どうしても多くなります。

また、27名の内、約半数の方がカード・マジックを行っていますが、カード・マジックのみの方が4名、カードとコインの両方のマジックをされた方が6名です。コイン・マジックだけの方は3名でした。使用される素材で多かったもの順に紹介しますと、カード、コイン、カップ・アンド・ボール、スポンジ(ボール・うさぎ等)、ロープ(ロープとリングを含む)、その他となりました。

実演する時にイスに座って演じた方は5名のみで、他の方はすべて立って演じられました。さらに、立って演じられた方の多くは、前方にテーブルがある状態で演じられましたが、6名の演技者は全くテーブルを使用しないか、サイドに置いて補助的に使っているだけでした。そして、最近になって変わってきたと思いましたことは、客を横に座らせて演じるスタイルが、以前に比べかなり減ったことです。今回は4名の演技者だけでした。

今回のコンテストの傾向が世界的な最近の傾向といえるのかどうかは分かりませんが、参考になればと思い報告させて頂きました。


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