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コラム



第2回 David Roth の Shuttle Pass と Winged Silver
〜1979年初来日時での印象とその後の変化について〜 (2002.2.25up)




石田のコーナーでのレポートは今回で2回目となります。
前回はカードでしたので、今回はコインを取り上げますが、内容はかなり専門的です。シャトル・パスやウィングド・シルバー(4枚のコインが右手から左手へ1枚ずつ飛行)の全体的な詳しい説明は省いています。是非1995年に製作された A-1 MultiMedia の David Roth のビデオ第1巻をみられることをお勧めします。彼のクラシックパームのすばらしさも再認識させられたビデオでもあります。それでは本題にはいることとします。

現在のコインマジックの代表者と言えば、まず Devid Roth氏があげられます。何度か来日され、実演とレクチャーをされました。また分厚い本(英語版)で多数のテクニックと作品が紹介され、数本のビデオも製作されています。コインマジックへの貢献度と影響力は多大な人物だと言えます。

数回の来日の中でも、私に特に強烈な印象を残したのは1979年の最初の来日レクチャーです。この時のシャトル・パスとそれを使った作品のウィングド・シルバーは目に焼きついています。事前に英語版のレクチャーノートは入手していたのですが、このシャトル・パスは意味不明でした。詳しい説明がないのです。たぶんあっても分からなかったと思います。しかも、これを4回も使ったウィングド・シルバーはマジックとして成り立つのかといった思いを持ってレクチャーに参加しました。

実演を見たときは、本当の魔法を見た思いをしてしまいました。残像現象の為か、シャトル・パスは左手のコインが右手に移って静止するまで、ずっと見えたままで、間違いなくコインを移し換えたとしか見えなかったのです。しかしその後、数回再来日され、バラエティーに富むコインマジックを披露されましたが、その中で使用されるシャトル・パスを見ても、最初のように感動しなくなりました。

シャトル・パス自体が最初の時と変わってしまっていたからです。
左手のコインを右手に取ったように見せる瞬間までは変わりません。しかし、その後が全く異なっているのです。今回のレポートはその部分の特別なこだわりに終始しているといえるかもしれません


最初のレクチャーでのシャトル・パスの印象は、右手に移ってからのコインがキラキラ輝いていたことを覚えています。このことにより、確かに右手に取りましたという余韻が残ったものと思われます。しかし、どのようにコインを動かしていたかが確信をもてなかったのです。1995年版のビデオで分かったことですが、パスした後の右手のコインを指先に持って、一度掌が下向く方向に少しひねりますが、すぐに反対方向の掌が垂直になる方向に戻しています。そして、それと同時に、指先でコインを前方回転の方向に半回転させて、最終的には、親指と人差し指の間で保持してコインを示していたのです。このコインの動きが、コインの輝きを生み出していたようです。

初めて見た時のウィングド・シルバーも、ほとんどこのタイプのシャトル・パスを使っていたように 記憶しています。ところが、1981年に出版されたリチャード・カフマンの本「コイン・マジック」でのシャトル・パスの解説は、上記とは異なっていました。パスの後、右手首をかえして、単にコインをテーブルへ置く方向に動かしているだけでした。パスの後の右手の動きが大幅に省略されて、違ったもののように感じてしまったわけです。キラキラがないか、あってもほんの少しだけで、本当にコインを左手から右手へ移し換えたいう余韻が最初見た時の方法に比べ、残らないのです。

なお、この本には「High Flying Winged Silver」や「ポータブル・ホール」といったマジックが解説されています。その中で使用されているシャトル・パスも同様のタイプのものばかりでした。無論1982年の再来日の際のご本人の実演も同様でした。

「右手に確かに受け取りました」と強調するような意味合いになる最初の私の記憶しているシャトル・パスは、かえって良くないのかもしれません。シャトル・パスの完璧度、うまさを主張しているように見えるからです。また、テンポよく見せている手順の中で、一瞬でも止まるような操作は避けようとしたのかもしれません。シャトル・パスの気配を断つ為に、意味ある動作の中に溶け込ませたと言ってもよいかもしれません。さらに、スピードアップする為にも、新たな方法の方がよいと言えるでしょう。

しかし、最初に見たウィングド・シルバーは、ゆったりとした優雅さと、一枚ずつの飛行に感動するゆとりがあったような気がします。どうあるべきかは別として、やはり最初に影響をうけて感動したシャトル・パスの方法とウィングドシルバーに、私は強い思い入れと魅力を感じてしまったのです。

1984年にルイス・タネン社によりビデオが販売されました。 その中でのシャトル・パスの解説は、 パスした後の右手の動きは、手首を返してすぐにもどすことにより、コインをキラッとだけはさせています。しかし、そこまでで終わっています。ウィングド・シルバーの実演においても、このパスを中心に行っていました。このパスに文句をつける部分はないのですが、やはり最初見た方法と違うという思いは残ってしましました。

ところで、ウィングド・シルバーの方法の解説となると、1回だけ上方まで半回転させることを無意識に行っているのです。久々にこの方法を見た瞬間、1979年のレクチャーでは、やはりこちらの方法を行っていたはずだと確信しました。また、それと同時に意図的にこの方法を隠しているのかと変なことも考えてしまいました。

1985年に分厚い本である「Expert Coin Magic」が出版されましたが、その中で解説されている ウィングド・シルバーは1984年のビデオの中でのウィングド・シルバーの実演内容に近い解説と言えます。この本では、シャトル・パスの解説もされていますが、右手に取ったようにみせたところまでしか解説されていません。その後の動きは特別なバリエーションをいくつか説明しています。しかし、初来日時の方法は載っていません。 なぜか?という思いが強くなってしまいました。

その後、数本のビデオが出された後、いよいよ1995年のA-1のビデオが登場となるわけです。 この中でのシャトル・パスの解説は、実演を4回行っていますが、4回とも最初に見た時の上方まで半回転させる方法をはっきりと行っていたのです。16年目にして、私の印象に近いシャトル・パスをしっかり見せてもらえました。私の胸のウヤムヤが取れ、すっきりした思いがしました。残る問題は、ウィングド・シルバーもこのシャトル・パスを使って演じているかどうかです。しかし、残念ながら実演では1984年版のビデオと大差ないのです。
ところがです、これの解説となると、シャトル・パスを4回も行っている内の1回目と3回目には上方へ半回転させる方法を使っているのです。

2000年に12月の厚川昌男賞のパ^ティーでのゲストとして、David Roth氏が久々に来日され、華麗なる演技を堪能させていただきました。残念だったのは、長い手順物が多く、どちらかと言えば短い作品のウィングド・シルバーは演じられませんでした。後で聞いた話しでは、その後か翌日に、某場所にてウィングド・シルバーのリクエストに答えて実演されたそうです。しかも、何回もアンコールされ繰り返し見せることになったそうです。うらやましい限りです。どのようなシャトル・パスがおこなわれていたかが気になるところです。

最近になって、最初に私がみたウィングド・シルバーは、私の思っていた通りのシャトル・パスが行われていたのか気になってきました。そこで少しでも参考になるかと思い、しまい込んでいた1977年度の英語のレクチャーノートを探し出し、読み直してみました。

1回目のシャトル・パスは別として、2回目以降は、パスの後すぐに右手を動かすのではなく、少しだけコインを示した状態になっていることが読み取れました。コインの詳しい動きは書かれていませんが、このコインを示す位置に持ってくるまでは、コインを半回転させながらキラキラさせて持ってきていたはずです。

もう一度あの時のようなウィングド・シルバーを見てみたいという気がしました。しかし、微妙なテンポとタイミングは年月の経過と共に変化していることも考えられます。当時のウィングド・シルバーは当時のものとして、私の記憶の中に残しておいた方が良いのかもしれません。


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