マルチイフェクト・デックを使用したカードマジック作品集です。
マルチイフェクト・デックのアイディアは約100年前まで遡ります。1920年代にヴァル・エヴァンスとアネマンにより命名され、作り方とともに18種類の手順が『The Jinx』に掲載されました。その後は本に載ることもなく、忘れ去られた存在となりました。1980年代にタマリッツが独自のアイディアを発表することで、再びその価値が注目されるようになっています。
マルチイフェクトという名前の通り用途が広いです。コントロールに強く、シャッフルした上で、自由に選ばれたカードを戻してもらい、表を見ることなく、ワンカットでコントロールできます。選ばれたカードは戻してもらう必要もなく、何が抜かれたかを知ることも楽に可能です。カード当て、メンタル、移動、サンドイッチ、あらゆることが簡単にできます。
驚くことにほぼすべての作品で、作者の実演がオンライン映像(英語音声)で視聴可能です。テキストだけでは想像しにくい動きなどもそちらで補完できますし、そもそもテキストが苦手な方はそちらを視聴いただくと良いでしょう。
マルチイフェクト・デックは非常に手に入りにくいです。素材さえあれば、自作可能ですが、面倒臭がりのあなたのためにフレンチドロップでご用意いたしました。すぐに手に取り、研究したいという方はこちらも合わせてお買い求めください。
フレンチドロップは研究熱心なあなたを応援しています。
はじめに
THE MULTIEFFECT DECK
DECK DESCRIPTION
HANDLING THE DECK
テーブル上でのカット
観客によるカット
手の中でのカット
テーブル上でのリフル・シャッフル
手の中でのリフル・シャッフル
ホァン・タマリッツのサトルティ
観客によるシャッフル
オーバーハンド・シャッフル
エラー修正
THE ROUTINE
OVERTURE
SIMPLE CARD
デックをシャッフルし、言われた個数分の山に分け、言われた順序でまとめ直すが即座に見つけ出す。
VISION OF THE FUTURE
デックを裏向きで広げ、演者はうしろを向く。その間観客が1枚選んで憶え、それを箱にしまう。向き直った演者は、観客に選んだカードのことを思うように言うが、「例えばですが~」でマジシャンが挙げるカードがまさしく観客の選んだカードである。
TWINS
デックをシャッフルし、20枚ずつ程度の2つの山に配り、どちらかの山から1枚のカードを選んで憶えてもらう。マジシャンは選ばれなかったほうの山から1枚を抜き出し、表を見せずに裏向きで山の中程から突き出た状態にする。2山を1枚ずつひっくり返していくと、マジシャンがカードを差し込んだ同じ位置から観客のカードが出てくる。そしてマジシャンのカードを表向きにすると観客のカードのメイトである。
OUT OF THIS MULTIWORLD
マジシャンと観客で20枚ずつ程度のカードを持ち、観客にはマジシャンの動作をトレースしてもらう。マジシャンはずっと表向きに、観客は裏向きでカードを配っていくが、観客は表を見ていないにもかかわらず、赤と黒をきれいに配り分けていたことが分かる。
FOLIE À 3
観客の男女が1枚ずつカードを選び、デックの中に戻してどこに行ったかわからないようにする。男性がデックをコンプリート・カットし、女性のほうに向けてスプレッドすると、それぞれの端に選ばれたカードが来ていて、しかもメイトになっている。
SANDWICH
何回かシャッフルしたデックを、テーブルに裏向きで置き、マジシャンが目をそらしているあいだに、観客が自由にカードを1 枚選び、見てからデックに戻してシャッフルする。マジシャンは向き直り、デックを再びシャッフルし、表向きの2 枚の黒のカードをデックに入れ、もう一度シャッフルしてカットする。デックを裏向きに広げると、2 枚の黒のA が1 枚のカードをサンドイッチしており、これが選ばれたカードである。
TACTO MÁS QUE FINISIMO
マジシャンはスキルのデモンストレーションとして、言われた枚数でちょうどカットできるといい、その通り実演する。
IMPOSSIBLE
最初は自明に見える状態で始めるが、徐々に難度を上げていき、最終的には不可能に思える状況下で観客の選んだカードを当てる。
THE DECK & THE HAND
デックを数回シャッフルしてカットしたあと、マジシャンは観客の両手で目隠しをされる。ここからマジシャンはデックを自分の目の前
のテーブル上に、4 つの裏向きの山に配り始める。途中、誰かに「ストップ」と言われたら、マジシャンは配るのを中断してデックをシャッフルし、それからまた配り続ける。デックを配りきるまで、このような中断が何度か挟まる。すべてのカードがテーブル上に配られたら、観客は目隠ししていた手を離し、マジシャンは目を開ける。この4つの山を見ていくと、スートごとに見事に分かれていることがわかる。
EVEN MORE EFFECTS
DIPROSOPUS
デックをシャッフルし、観客がカットしたあと、テーブルに裏向きでスプレッドする。マジシャンが目をそらしているあいだに、観客は任意のカードを1 枚取り、それを見て憶え、デックのどこかに戻して、揃えてカットする。マジシャンはデックを手に取り、選ばれたカードを探していき、躊躇しているように見えつつも、デックをテーブルの上に置く。観客に、自分のカードの名前を言ってもらい、デックのトップ・カードをめくってもらうと、それが観客の選んだカードである。
BONUS
観客は、シャッフルされたデックの中から自由にカードを1 枚選び、再びデックの中に混ぜ込む。マジシャンは、そのカードを魔法のように取り出し、さらに同じ値の他の3 枚も取り出してくる。
BIDDENDEN
デックをシャッフルしてカットしたあと、観客が自由に1 枚カードを選ぶ。観客は自分の選んだカードを裏向きに広げたデックの任意の場所に差し込むが、デックから突き出た状態にする。選ばれたカードのすぐ下にあるカードを見ると、それが期せずしてそのカードのメイトであることが分かる。
ASSASSIN TWINS
デックがシャッフルされ、マジシャンは背を向ける。観客の1 人が自由にカードを1 枚選び、他の観客たちにも見せてから、それを保持する。マジシャンは自身の財布を取り出すが、そこに入っている1 枚のカードが選ばれたカードのメイトである。
MENTAL SQUARE
観客が1 から13 までで1つの値を選び、その値のカードを1 枚、デックの中から取り出す。演者は、そのカードのスートを当てる。
MONOAMNIOTIC TWINS
2 人の観客がそれぞれ1 枚のカードを選ばせ、そのまま手元に持っていてもらう。デックをシャッフルして紙袋に入れて振り、カードをさらに混ぜる。マジシャンは紙袋の中に手を入れ、そこから1 枚のカードを取り出すが、これが最初の観客の選んだカードのメイトである。演者は再び紙袋の中に手を入れ、そこからもう1 枚のカードを取り出すが、これも2 人目の観客のメイトであることが分かる。
ZYGOSITY
デックを2 つに分け、片方を観客用、もう片方をマジシャン用にする。マジシャンは、自分のカードを1 枚、テーブルに裏向きで置く。観客は、そのカードが赤だと思ったら、自分の赤いカードを1 枚、マジシャンの出したカードの前に表向きで置き、このカードが黒だと思った場合、彼女は黒のカードをそのカードの前に置く。この理屈で続ける。最終的に確認してみると、観客は毎回正しいメイトを置いていたことが判明する。しかし1箇所でミスをしているが、最初からテーブルにおいてあった紙を見ると、そこにはそのミスの内容が明示されている。
映像集
参考情報集
訳者美文